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第1話

Ep.01 居酒屋での本音
1,402
2026/01/17 08:26 更新





1月の冷え込みは、ソウルの夜を容赦なく刺してくる。

今日は1月4日。
スンミンが俺の宿舎に引っ越してきた。

荷解きをひと段落させた俺とスンミンは、
大通りから外れた路地裏にある、
全室個室の酒場にいた。

🐰
🐰
……あー、腰が痛ぇ。
何個段ボール開けたと思ってんだよ


俺は個室の引き戸を閉めるなり、
座布団の上に崩れ落ちた。

アイドルとしての「リノ」は、
今はどこかに置いておきたい気分だ。

🐶
🐶
お疲れ様、ヒョン。
はい、おしぼり。……何飲む?
🐶
🐶
今日は僕の奢りだから
🐰
🐰
ラッキー! じゃあ、まずはソメクから


俺は手慣れた手つきで、
テーブルに並んだ焼酎の瓶とビールを手に取った。

黄金比で混ぜ合わせた液体をジョッキに注ぎ、
スンミンと軽くグラスを合わせる。

🐰
🐰
おつかれ〜!
🐶
🐶
乾杯


喉を鳴らして流し込む。

冷たい刺激が胃に落ち、
引っ越しの疲れを少しずつ溶かしていく。

🐰
🐰
……っはぁ、染みるな〜。
やっぱりこれだよな


一息ついて、卓上の呼び出しベルを押す。

すぐにやってきた店員に、俺はつまみを注文した。

🐰
🐰
すいません。キムチチゲと卵焼き、
あとポッサムも一つ。
……スンミナ、お前それだけで足りる?
🐶
🐶
十分でしょ。
あ、あとサイダーも1本お願いします


店員が下がると、個室に再び静寂が戻る。
俺は二杯目のソメクを作りながら、
ふと思い出したことを口にした。

🐰
🐰
……そういや、お前。
ヨンボギと同じ部屋だった時は
どういう生活だったんだよ


スンミンは運ばれてきたサイダーを
グラスに注ぎながら、少し考える素振りを見せた。

🐶
🐶
ヨンボギと? 
……あー、僕たちは本当にお互い
『ノータッチ』だったかな。
ゲーム一緒にやるくらい?
🐰
🐰
ほーん。
もっとベタベタしてたのかと思った
🐶
🐶
しないよ、恋人でもあるまいし。
ヒョンとはそうもいかないけどね


スンミナがニヤリと笑って俺を見た。
その視線に、少しだけ心臓が跳ねる。

🐰
🐰
……何だよ
🐶
🐶
だって、僕の今のルームメイトは、
ヨンボギじゃなくてリノヒョンだから。
ノータッチなんて、
僕が我慢できるわけないじゃん
🐰
🐰
……バカか。お前は犬かよ


俺は照れ隠しにジョッキを煽った。

本来、俺はジョッキ数杯で
どうにかなるような酒の弱さじゃない。
だが、今日の俺はどうもおかしい。

2杯、3杯と飲み進めるうちに、
視界が妙にふわふわと滲み始め、
耳の奥がじわじわと熱くなってきた。

🐰
🐰
………?


…なんだ、今日。疲れすぎたか?

酒が回るのが異常に早い。
身体が内側から重だるく、
感覚が過敏になっているような気がする。

おまけに、さっきから下腹部が鈍く重い。
そろそろ女性特有の周期が近いせいか。

🐶
🐶
ヒョン、飲むの早くない?
もう顔真っ赤じゃん


向かい側に座るスンミンが、訝しげに覗き込む。

🐰
🐰
……別に。……普通だろ
オイ、そんなに見るな


ぶっきらぼうに言い返し、
ジョッキを握る手に力を込めた。

だが、スンミンの目は誤魔化せない。
彼は静かに立ち上がると、隣の席へと移動してきた。

🐶
🐶
普通じゃないね。
……目がトロンとしてる。
……もしかしてそろそろ生理?
🐰
🐰
……うるせぇよ。
…わかってんなら放っておけよ。
恥ずいだろ
🐶
🐶
酔いやすいんでしょ?
明日に響くよ
🐰
🐰
引っ越しの祝い酒なんだから
野暮なこというな。
……お前こそ、全然飲んでないだろ
🐶
🐶
明日は仕事じゃん…。
それより、明日の朝ごはん決めておかない?
新居での初日の朝だし
🐰
🐰
あー、朝メシな。
……お前、何食いたいんだよ。
俺が作ってやるから言え


俺はスンミンの肩にずしりと頭を預けた。
男同士だったはずの距離感。
だが、今はその肩の硬さや体温が、
なぜかいつもより鮮明に意識されてしまう。

🐶
🐶
何でもいいよ、ヒョンが作るものなら。
……あ、卵焼きはあったら嬉しい
🐰
🐰
おーけー。帰りに卵買わないとな。
代わりにお前は洗濯と掃除しろよ〜


俺は酔った勢いで、スンミンの鼻先を指で突いた。

🐶
🐶
それ僕が全部やるの?
🐰
🐰
当たり前だろ。役割分担。
俺がメシ作るんだから、
お前が家のことをやれよ
🐶
🐶
わかった。
ヒョンはキッチンで、
僕のために美味しいご飯作ってね
🐰
🐰
…おぅ、任せとけ。
完璧な『お嫁さん』やってやるからよ
🐶
🐶
はぁ…、アルコールって最高……


俺はスンミンの胸板に顔を埋めた。

ヨンボギとの「ノータッチ」な生活とは正反対。
一秒も放っておくつもりはないし、
相手も俺を逃がすつもりはないらしい。

スンミンは俺の腰に手を回し、
自分の方へと強く引き寄せた。

🐰
🐰
……俺さ
🐰
🐰
なんで女性の身体になったのか、
ずっと考えてたんだ
🐶
🐶
……まあ、確かに。
原因がわからないことには
解決しようがないよね


俺の声が、自分でも驚くほど微かに震えた。

🐰
🐰
俺さ、お前の子供を産める女の人が、
羨ましいって思ってた。
男同士だとお前の血を分けた何かが
残ることはないだろ?
それが悔しくて、羨ましくて……
🐰
🐰
そしたら、こんな身体になってた。
……笑える


自嘲気味に呟いた俺の言葉が、
個室の静寂に吸い込まれていく。

隣で、スンミンの身体が目に見えて硬直した。

俺が恐る恐る顔を上げると、
そこにはこれまで一度も見せたことがないほど、
顔中を真っ赤に染めたスンミンがいた。

🐶
🐶
……っ、……ヒョン。
……今、なんて言った?
🐰
🐰
……だーかーら、
お前の子供を産みたかったんだよ。
……おい、そんなに顔赤くすんなよ!
こっちまで恥ずかしくなるだろ!


俺の指摘に、スンミンは慌てて両手で顔を覆った。

指の間から覗く瞳は潤み、
激しい動揺と爆発的な歓喜が混ざり合っていた。

🐶
🐶
……反則だよ、それ。
……そんなこと言われたら、
僕……どうしたらいいか……
🐰
🐰
……酔っ払いの独り言だ。忘れろ〜


スンミンは俺を折れそうなほど強く抱きしめ、
その首筋に顔を押し当ててきた。

🐶
🐶
……子ども、産んでくれるの?
……僕との、子ども
🐰
🐰
……お前、こんなとこで、
本当に……バカ……。
……もう、帰るぞ


俺は真っ赤な顔で顔を背けたが、
スンミンの手は決して俺を離さなかった。

新居に向かう帰り道、手を繋いだまま歩く。

俺の、そして俺たちの、
これから始まる奇妙で熱い新生活が、
暗い夜道の中に淡く光っているような気がした。













Continued.


『俺、朝起きたら女でした』の続編を始めることにしました🙌

今までは大体3000字くらいまで書いてたんですけど、
続編では"短編集"としてあまり気にせず楽しく
書いていきたいと思います!!😊

女体化や妊娠・出産の話題など、デリケートなお話もあるので、
続編はフォロワー様限定にさせていただきました💦
🔞を書くかは未定ですが、
取り扱うテーマを踏まえてあらかじめ🔞設定にもしてあります。
ご了承ください🙇

ではまた続きを読んでもらえると嬉しいです♡

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