アスカside
何もない道を歩いて、数分。
それまでずっと一定の速さで歩いていたニックが、急に立ち止まった
子供に言い聞かせるようにやさしく言う声に、背筋がぞくっとするのを感じた
…何か、嫌な予感がする。
確かめにいきたいけど…しょうがない。
アリー先輩もいる中、一人で銃の相手はできない
いまはとりあえず、できることを。
ニックがいないうちに、話してしまっておこう
背を向けて歩くニックを一瞥し、わたしたちもまた足を踏み出す
バレないように前を見据えながら、小声で。
でも、一語一句をはっきりと伝えた。
No side
暗い道で立ち止まったかと思うと、虚空に向かって声をかける男
名を呼ばれて姿をみせた女には、あちこちに傷跡がみえる。体を支えながらも、男を睨んで、
ピクリとも動かない笑みのまま、男は言う
女も、表情は変わらない
互いにまた、逆方向へ歩きだす
…数歩進んだところで。
女が素早い動きで、小型のナイフを数本投げる
正確に、男の足元を狙って。
しかしそれを読んでいたかのように、男は全てを華麗に避ける
そして______
発砲に、音は鳴らなかった。
男は静かに、引き金を引いた。
女が地面に倒れるのを確認し、来たときと変わらぬ態度で、再び道を遡りはじめた。
マサキside
頬を冷や汗が伝う
緊張で体が強張り、顔も引き攣る
おれの向かいに、ファルコン。
恭也様の向かいに、藤堂伊織。
ファルコンと伊織を同時に、などという、絶望的な状況
でも、おれにはいま、後ろに我が主がいる。
これがどれだけ、支えになろうか。力になろうか。
背中合わせになっていて、表情は見えない
けれどきっと、おれと同じ顔をしているはずだ。
おれは威勢よく飛び出し、何度も挑んだその人物に、拳を振りかざした
ツバキside
通風口内からの観察をしてきて、偶然、恭也様とマサキをみつけた。
二人ともファルコンと伊織相手に戦いあえている
…わたしにはできないこと。
いや…今は自分の能力を憂いでいる暇などないな
安全な場所で冷静に判断できる状況にいるのはわたしだけだ。
それを悔やむのではなく、有効に活用せねば
おそらく主犯格であるニックは除外するが、いま敵陣の最高戦力はこの二人
その二人を同じ場所で同時に使うことが、何の意味を持つのか。
わたしに考えられる説は、おもに3つ。
一つ目、もう他の味方は捕まっている。
これはほとんど可能性はゼロだろう。先程のインカムでナイトメアの無事は確認できているし、わざわざ人質を攻撃することは考えにくい。
二つ目、タキオン側が不利な状況にあるor時間稼ぎ。
慎重で完璧な計画を好むニックだ。不利だからといって、とりあえず強い奴を、なんていう考え方はしないだろう。よってこれもおそらく違う。
三つ目、 もう作戦が終わる。
終了間際に逆転されては困るだろうしな。足止めの役割と考えるのが最も自然だ。しかし、この二人を使ってまで確実にしたい作戦とは… 奴らの狙いが、まだ分からない。
違う。もしかしたら……
『おそらくニックが主犯格』
わたしはいつのまにか、思い違いをしていた。
今回の件は確かに、ニックが先導しているはずだ
だが、タキオン全体を統治しているのは。
圧倒的なカリスマ性で、幼いながらもボスを肩書にもつのは。
彼らが、危ない。
あと一応断っときます
この物語は、原作の事件とは関係ありません。なので最終巻発売までに完結していようがなかろうが、原作の結末とは異なる結末にすると思います。最終巻がどーなるかまだ分からんですけども、とりあえずこの小説ではタキオン壊滅には至らないとこで終わります。変に読者側でいろいろ書いて水を差したくないんでね。終わり方等は只今考え中ですがそこだけは決まってますんでご安心を
それと29巻の情報出てたわ…あらすじからしてまたまた最高な予感しかしねぇよ。つぎは表紙が楽しみですな












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。