第38話

34話
9
2025/12/21 06:00 更新
 
 
 
 
 
 
その日の夜更け。
 
 
 
僕は共有棟の屋上で涼んでいた。
 
 
ここは、星がとても綺麗に見える。
( ...落ち着くなぁ...... )
 
星を眺めていると、何故か心が和む。
 
なので、屋上で星を眺めてから寝る、というのがここ最近は続いている。
 
 
とても静かな、1人の時間。
 
このような時間は大切にすべきだと思う。
 
 
 
こうやってまったりしていると、気になるのは...現実世界のこと。
( 僕がいなくなって、どうなってるかな。 )
 
いつも魚をくれたやさしい漁師の人が、僕のことを探してるかもしれない。
 
いつも話しかけてくれた小さな女の子が、僕がいなくなって泣いてるかも...
 
 
そう思いながら、星空をぼーっと眺めていた矢先...
 
 
 
 
 
紗苑
すごい星だね〜
紗苑、寝てたんじゃないの?
紗苑
ん〜?いや、こんな夜中に何してるのかなって思ってさ〜
星、すごいでしょ。
紗苑
うん。満天の星空だね〜
 
ニコニコしながら穏やかな瞳で星空を眺めている紗苑を見ると、不思議な気分になった。
 
なんで、そんなに嬉しそうなの?
紗苑
星にはちょっと思い入れがあってね〜
そうなの?
紗苑
うん。この世界に来る前にさ、大切な仲間とこうやって星を眺めたな〜って思って。
大切な仲間...
 
 
そういえば、僕は紗苑のこと、何も知らない。
 
 
何処に居て、何をしていたのかも、どんな生活を送っていたのかも。
 
時折見せる寂しそうな表情が、まるで...触れないでほしいと言っているかのようで。
 
 
知りたいとは思っているけれど、どうしても聞けない。
 
 
紗苑
ねえ、一つ聞いても良い?
いいよ。
 
 
 
紗苑
もしもの話なんだけどね、もし...元いた世界に戻れるとしたら、どうする?
 
ぇ...
それを聞いて、僕は黙り込んでしまった。
 
 
もし、元いた世界に戻れるなら。
そうしたらまた、あの温かい人々がいる街で、猫として暮らせる。
それは、願ってもないことだ。
( でも... )
 
...元いた世界に戻るということは、2人との別れを意味する。
僕にとってはこの世界も、元いた世界も、同じくらい大切な存在だ。
どちらかを選べと言われても、ただ思い悩むばかりで決めきれない。
 
それでも、どうしても、2人と過ごしていると、この時間が永遠に続くような気がしてならない。
 
紗苑の気遣わしげな視線が、揺れている心に突き刺さる。
 
 
 
 
 
ずっと考え込んでいる僕を見かねてか、紗苑は言った。
 
紗苑
ごめんね。...変なこと聞いちゃったかな。
 
 
...いや、変じゃ...ないけど...
 
動揺から、言葉が見つからない。
 
 
 
 
紗苑
じゃあ、...おやすみ〜
 
 
気まずくなった空気から逃げるかのように、紗苑は去っていった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
暫くの間、僕は動けずにいた。
 
( ...別れ、か... )
 
 
 
 
 
 
 
......もう、寝よう...
 
 
 
 
もやもやした気分のまま、もう一度夜空を見上げると、恨めしい程に美しくきらめく星々が目についた。
 
なんかいい感じになった気がする。
紗苑が意味深なこと言ってましたねー
この後のお話にどう響いてくるんでしょうかねぇ?
主という名の主という名の主
主という名の主という名の主
スクロールお疲れ様でした。
主という名の主という名の主
主という名の主という名の主
それでは。また。
 

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