朝、何気なく家を出ると
そこにはなぜかまふまふ君がいた。
まふまふ君はそう言うと無邪気に笑う。
笑顔以外にも朝の少しふわふわした感じとか
色々と可愛い。
朝だというのに会話も弾み、
2人での登校も悪くないなと思った。
今は昼休み。
私はいつも一緒に食べている友達ではなくて
クラスでいう中心メンバー、
いわゆる一軍の女子達と食べていた。
廊下で突然誘われ、
断れる雰囲気じゃなかったので仕方なく。
女子「へぇ〜。心当たりないの?」
女子「いい神経してんじゃん。」
うわ…。
この言い方からあまりいい話ではなさそうだ。
常日頃から彼女らの機嫌は
損ねないようにしてきたつもりだったのだけど。
私が何をしたと言うのだ。
女子「これ、見て。」
突きつけるように見せられたのはスマホの画面。
そこに写っていたのは下校中の私とまふまふ君。
女子「なんで手なんか繋いでるの?」
しかもたまたま連絡先交換のために
スマホを渡していた時に撮られたらしく、
ちょうど手を繋いでいるように見える。
女子「え〜。付き合ってんじゃないの、2人。」
女子達はケラケラ笑う。
私が手と顔を全力で振って否定すると
女子達は急に怒り出して
女子「何それ。自慢?」
女子「あんたみたいなクソマジメでお堅いのと
まふまふ君が釣り合う訳ないじゃん!」
女子「ねぇ。これ学校中に拡散したら
どうなると思う?」
女子「まふまふ君のこと大好きな先輩達に
潰されるでしょww」
女子「これ、拡散されたら困るよね?」
女子「まふまふ君を独り占めしてないでさあ、
私達とも仲良くしようよ〜。」
理不尽な理由でキレていたかと思えば
悪知恵働かせて写真で脅してきた。
まふまふ君には学校中に"ファン"なる人達がいる。
特に1つ上の先輩達は熱量が凄まじく、
目をつけられたら一巻の終わりだ。
この写真を拡散されれば即座に先輩達に
呼び出しをくらうことだろう。
私は短く言葉を切ると、
女子達の群れから抜ける。
彼女達のいちゃもんを聞きながら
昼食は終えていた。
後ろから聞こえてくるのは乾いた笑い声。
あーあ。
せっかく男友達が出来たと思ったのに。
イケメンだし、注目されてる人だから
身構えていたけど話してて楽しかったのに。
だけど一軍の女子達に睨まれ続けるのは
私の立場が危ぶまれる。
私はもう、まふまふ君とは話さない。
話せない。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。