第37話

触れないで (乾VS言×問)
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2026/03/01 11:17 更新








































─言side─




    乾さんが問ちゃんに近づくと、大体ろくなことが起きない






















ほら、今だっ……て……!?




























なあ、問


ん?という顔で問ちゃんが振り返ったとき、乾さんがニヤリと笑う


東問
うわっ!
フフ、問おどろきすぎ笑
ただのココア缶だよ?
東問
いや、だ、だって、熱かったから……


問ちゃんの頬にココア缶を当てた乾さんが、赤面する問ちゃんを見て、コロコロと笑った


うーそ
ほら、顔赤いよ?


乾さんが問ちゃんの背後に回る
そして両手を問ちゃんの両頬に当て、クイッと前に向かせた
2人の目の先には、パソコンの黒い画面。
当然、問ちゃんの頬の色など分かるはずがない


東問
な……見えないじゃないですか!
ンフフ、もう……耳まで真っ赤にしちゃって、


そう言って、優しい手つきで問ちゃんの髪を耳にかける乾さん。
問ちゃんがそれにピクン、と反応したのを見て、俺は我に返った





























    何見入ってるんだよ






















しかも問ちゃん、あんなので反応しちゃってさ……
可愛い反応したら、またイタズラされるのくらい分かるでしょ??




























    俺の視線に気づいたのか、ふと乾さんと目が合う
乾さんはキョトンとした顔で少し目を見開くと、俺にウインクしてきた
まだまだ昼休憩に入れない俺は、唇を噛むしかない





















    くっそ……問ちゃんをもてあそびやがって!




















































    その日の夜


東問
言ちゃーん、もう帰るー?


問ちゃんがせっかく声をかけてくれたが、悔しいことに仕事のキリが悪い



家に持ち帰って続きやるか……?



東言
……いや、もう少し残ろうかな
東問
……そっか、
じゃまたね〜!
東言
うん、バイバイ


問ちゃんの顔を見ることなく手を振って、パソコンの画面に目を落としたとき。


東問
言ちゃん!!!


問ちゃんが部屋の角から顔を出す


東言
んー?
東問
雪!雪降ってる!!
東言
え、雪?
問ちゃん、傘持ってたっけ


俺の問いに、問ちゃんは緩く首を振る


東問
言ちゃん持ってる?


問ちゃんに言われて急いでバッグの中を探してみるが、折り畳み傘は見当たらなかった


東言
ごめん、俺も持ってないわ
東問
だよね……まあ、たぶん大丈夫!
言ちゃんも帰るとき気をつけてね〜
東言
ありがとう
問ちゃんも風邪ひかないようにね


ようやく仕事に区切りがつき、パソコンを閉じる
窓の外を見ると、まだ粒が大きめの雪がちらついていた



まだ降ってるなら、まっすぐ帰るか……
問ちゃん、ちゃんと帰れたかな















オフィスを出て、足早に駅に向かう
駅への道中、飲み屋街を一本入った裏道。










とある二人組に目がとまった
首から上は傘で隠れていたが、見覚えのある背格好。










……あれは、問ちゃんだ

隣にいるのが誰かはわからない……けど
とにかく俺以外の人とあんな距離で一緒にいることが既に許せない











    ガツン、という音がした
俺が傘を落とした音。

しかし今の俺にそんな音は聞こえない
無意識に足が動いていた
次第に歩く足が速くなる
相手が誰かも気にしないで、夢中で二人の間に割って入った
























東問
、言ちゃん……
東言
何してるんですか


相手が乾さんであることを視認してすぐ、俺は口を開いていた
問ちゃんの驚いたようなか細い声など、もちろん耳には入っていない

少しとろけたような目。
ほんのり赤く染まった頬。



……あぁ、お酒でも飲んでいたんだろうな、
大して強くもないくせに




きっと、帰り道に雪に降られている問ちゃんを乾さんが見つけて
なにか話していたんだろうけど

問ちゃんのあの目を見る限り、俺が今ここで割り込んで正解だったのだろうと察する
だってもう、乾さんに「落ちかけて」いる目だったんだから。


東言
帰るよ、問ちゃん
東問
え、あ……


問ちゃんの手を無理やり掴んで、こちらに引き寄せる
彼の体は、いとも簡単に俺の元に倒れてきた






やだよ、こんなにやわになっちゃったお兄ちゃんを見るの











……言!


俺が問ちゃんの手を引いてその場を立ち去ろうとしたとき、乾さんが少し声を張り上げて、俺の名を呼ぶ
その声に振り返った俺を見て、乾さんは悪戯っぽく、でも少し困ったように眉を下げて笑った


いつまでも自分のものだと思ってると、痛い目見るぞ〜


俺がキッと睨みつけたのを見てか、乾さんはふはっ、と息を吐いた


東言
何が面白いんですか
いいや、別に笑


俺の横を通り過ぎるとき、乾さんが耳元で囁く


……誰よりも幸せにしろよ、言


俺が落とした乾さんの傘を拾って差して、乾さんは颯爽と去っていく
俺は、静かな裏道で静かに雪が降る中で呟いた


東言
……言われなくても

























































バレンタイン前に一個、と思い書きました
8時までに出さなくては!と思った結果、終わりがだいぶ雑……笑

早めにぬいさん視点でも出せればと思います

























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