ある日の帰り────
乾がオフィスのドアを開けると、ブワッと強い風が吹き抜け、乾の鮮やかな赤髪が揺れる
今日はバーガンディーのマフラーを巻いてはいるが、あいにく手袋を忘れてしまった
仕方なくコートのポケットに手を突っ込んで、歩き始める
今日は上手い編集が思いついたな〜などと考えていると、突然後ろから肩を叩かれた
両手をポケットに突っ込んでいたため、危うく顔から転びそうになる
しかし、乾の体が地面に倒れることはなかった
乾が顔を上げると、そこには困り眉でくしゃっと笑うこうちゃんの顔。
こうちゃんは「そっか」と言って、乾の肩から手を離す
他愛ない会話をひとしきり終え、沈黙の時間が続く
耳に入ってくるのは、街を走り抜ける車の音と、止みそうにない風の音だけ。
そんなとき、こうちゃんの耳に「はぁ〜、さむ」という低い声が聞こえてきた
右を見ると、口の前で両手を擦りながら息を吹きかける乾の姿。
こうちゃんの声に気がついたのか、乾は動きを止め、目だけこちらを見てから頷いた
そう言ってこうちゃんは、突然乾の手を取る
乾が驚くのも構わず、こうちゃんは乾の両手を上下から包み込んだ
微笑んだ乾は、こうちゃんの両手首を片方ずつ掴んで、そのままこうちゃんの頬に当てる
首をコテンと傾げて笑う乾の顔は、完全にいたずらっ子のそれだった
そう言って、乾は自分がつけていたマフラーを外し、こうちゃんの首に巻いていく
こうちゃんはただただ下を向いて、乾の手がマフラーを巻いていく様を見ていた
……のだが。
巻き終わって「よし」と言った乾は、こうちゃんがお礼を言う前に、こうちゃんの顎を持って顔を上げた
乾の目だけを見て自分の黒目をキョロキョロと動かすこうちゃんに、乾は微笑んでから、こうちゃんの頭を優しく撫でる
こうちゃんはその言葉に、顔を耳まで真っ赤にして俯いた
────のところには、「こうちゃん」「渡辺さん」のように、皆さんのお好きな呼び方を入れて読んでください
※ぬいさん右多めっぽくなったけど、総ダメージ数はぬいさんの方がたぶん高いから許して
【お詫び】
前回の「リアル闇鍋 答え合わせ編」にて、志賀さんの食材を書くのをすっかり忘れていました……
申し訳ありません!!!!!
志賀さんのを追加した状態で更新しましたので、ぜひもう一度読みにいっていただけると嬉しいですm(_ _)m
追記:山本さんの食材はもともと「馬刺し」だったのですが、理由をど忘れしたため、水城奏汰様の「鶏肉」を採用させていただきました











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。