マンションの鍵を開けて部屋に入ると、
ほんのりとした明かりが玄関先まで漏れていた
靴を脱ぎながら後ろでつぶやいたあなたの声は、
ほんの少し眠たそう
そっと上着を脱がせてやりながら、壱馬は微笑んだ
そう言って笑うあなたの顔は、まだ頬がちょっと赤い
キッチンに向かって水を汲みながら、
ふと後ろを振り返ると
あなたがソファに座ってぼーっとしていた。
瞼がとろんとしていて、今にも寝そうな勢いだ...
そう言いながら水を渡すと、
あなたはむにゃっとした顔で受け取った。
その一言が、なんかもう、胸にすとんと落ちる
水を飲み終えたあなたが、
ゆっくりと壱馬の胸に顔を預ける
優しく抱きしめた腕に、
そっと力がこもる
あなたの髪に唇を落としながら、壱馬はぽつりと呟いた
夜の部屋は静かで、優しいぬくもりだけが満ちていた
壱馬の鼓動が、あなたの頬に心地よく響いた














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!