うーん…
『 絶対、振り向かせて見せるから! 』
と昨日いったものの…
マッシュくんと気まずいなぁ。
上手く言えないんだけどなんか気まずいの。
いつも通りなのに、特に変わったこともないのに
お互い意識してるって
考えちゃうと、気まずくなっちゃう。
いつも通り他愛のない話をする。
この時間が最高に心地よくて、幸せだ。
ずっと続けばいいのに。
なんで考えてしまう。
でも、無理なんだ。
彼には大切な恋人がいる。
彼のことを考えると、苦しくなっていく。
ガチャ
教室内から密かに聞こえる悲鳴
かっこいい、なぜレイン様がここに
喜びの悲鳴。
その声ひとつひとつがまるで
『耳障りだ』と言うように顔をしかめるレイン先輩
何人もいる教室の中から
他の女子とは違う目線を送っている私に気がついた。
レイン先輩は私をみて、嫌そうな顔をした。
その隣にいたマッシュくんを見つけ、
レイン様の表情は一瞬で変わった。
言葉では上手く表せられないけど
___恋する乙女
の顔だった。
いつものレイン先輩なら想像もできない顔。
全体的に赤くなっていく顔。
この顔にクラスにいた全員が目を見開いた。
マッシュくんに近づくレイン先輩。
近づいて、マッシュくんの耳元にきて、
私は気づいた。
マッシュくんの顔が赤くなっていることに。
やめてほしい。とても胸が痛い。
まるでレイン先輩は私の気持ちを知っているみたいだった。
でも、まさか、そんなことはないだろう。
だって、マッシュくんは『そういうこと』を
わざわざ恋人に言わないだろう。
なにをだろう。
私は2人を見つめていた。
現実を受け入れたくなくて。
私たち2人の時間を邪魔してきたレイン先輩。
その先輩は私の方を見て、ふっと
悪魔のような笑みを浮かべた。
彼は全て知っているんだ。
私が告白したこと、マッシュくんのことが好きなこと
まだ諦めてないこと。
レイン先輩が教室からさっていく。
教室内はなにもなかったかのようにいつもの教室に戻った。
私はいつもの教室、いつもの自分にすることが
できなかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。