ランスと2人で廊下を歩いて、
アドラ寮を目指す。
ランスが足を止めた。
ため息をしてから口を開いた。
またとトボトボと歩き出すランス。
その背中を追うように私も歩き出した。
ガチャ
ランス・クラウン。
私と同じ2本線で重力の魔法を使う。
私たちは、生まれた頃からの幼馴染だ。
どんな時も守ってくれて、優しい。
彼はコップを二つ両手に持ち、私とその前の席に置いた。
ランスは私の目の前に座った。
私は彼の部屋を見回す。
アンナちゃんグッズが前より増えて気がする…
だめ、ランスの前で。
ランスの前で泣かないで。
せめて、幼馴染の、ランスの前では、
明るく振る舞ってたい。
泣きすぎてローブの袖がびしょびしょだ。
でも、今はそんなびしょびしょな袖で涙を拭く。
目を強く擦って痛くなる。
ランスは目を擦って下を向いていた私を後ろから抱きしめた。
ランスは私の横に体を移動し、
ランスは椅子ごと私の体をそっちに向けた。
私たちは見つめ合う体制になった。
ランスが私の頬に手を置き、その手を私が握る。
ランスのもう一つの手は私の頭の裏にある。
まるで、さっきのレイン先輩とマッシュくんみたいに。
ランスは自分の顔を近づけた。
私たちは、短く、それをした。
尊敬
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!