第65話

🧸
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2026/04/30 23:00 更新
















玄関の前で、一度だけ足が止まる








ここに来るのは

いつもと同じはずなのに

今日は、少しだけ違った
















あなたのYGの元パートナーの名前さんは

あの日のうちに家を出たって

ナムジュンさんから聞いた







ユンギさんと、何かあったんだと思う


















あなたのYGの元パートナーの名前さんと言い争った日

あの場にいたのは、私……



だから、関係ないとは思えなかった



















それでも足が軽くなるわけじゃない





インターホンを押す指先が、

ほんの少しだけ震える











しばらくして扉が開いた












𝖸𝖦
𝖸𝖦
  ……どうした  










いつもと同じ声なのに、

少しだけ距離を感じる









(なまえ)
あなた
  ……少し、お時間いいですか  




𝖸𝖦
𝖸𝖦
  ……ん  










短く返されて、中に通される









靴を脱ぎながら何から話すべきかを探しても、

結局どこからでも同じ気がした














リビングに入ると

ソファに腰を下ろすよう視線で促される














少し遅れて

ユンギさんがソファの端に腰を下ろすと

かえってその距離が、逃げ場をなくした













𝖸𝖦
𝖸𝖦
  ……それで  











促されて、息を一つ吐く

言葉を選ぶ余裕は、なかった









(なまえ)
あなた
  今回の件で、
会社から業務停止の判断が出ました






(なまえ)
あなた
  ……しばらく
(なまえ)
あなた
  こちらに来ることができません  











少しだけ間が落ちる



視線の先で、

何かを測られている気がした











𝖸𝖦
𝖸𝖦
  ……怪我の件か  











小さく息を吐く音











(なまえ)
あなた
  はい  











それ以上は続けられない

続けたら、余計なことまで言いそう












𝖸𝖦
𝖸𝖦
  この件、俺が話つける 
𝖸𝖦
𝖸𝖦
  会社には、俺から——  
(なまえ)
あなた
  やめてくださいッ  











かぶせるように止めた











(なまえ)
あなた
  報告しなかったのは、私です  










(なまえ)
あなた
  ……私の責任です  











一瞬だけ、言葉を切って

視線を落とす











(なまえ)
あなた
  ……申し訳ありません  











一瞬、空気が止まる













(なまえ)
あなた
  ……他のシッターの方を  
手配していただいた方がいいと思います










(なまえ)
あなた
  ……私じゃなくても、
大丈夫なので











その言葉に、鋭い視線が返る



指を組み直し

一瞬、何かを堪えるように動きが止まる





























𝖸𝖦
𝖸𝖦
  ……それ、本気で言ってんのか?  












さっきまでと違う




抑えているのに、怒っているのが分かる

怖いと思うのに、

引く理由にはならなかった












(なまえ)
あなた
  ……それが一番いいと思ったので  












沈黙が落ちて、

奥歯を噛み締める気配がする












𝖸𝖦
𝖸𝖦
  ……それで終わらせるのかよ  











さっきより、声が低い

もう、逃げ場がなかった











(なまえ)
あなた
  それが一番いいと思ってるので  












𝖸𝖦
𝖸𝖦
  誰にとってだよ……  












言葉が、思ったより近くに刺さる

息が詰まる











𝖸𝖦
𝖸𝖦
  お前、それに入ってねえだろ  











何も言えなかった

違うと、言えなかった












ユンギさんの手が、手首に伸びて

触れる寸前で、止まる



ユンギさんが、言葉を切って

一瞬だけ、視線が揺れた












(なまえ)
あなた
  ……私の話じゃ、ないので  













その言葉に

ユンギさんの肩が、わずかに強張った












𝖸𝖦
𝖸𝖦
  逃げんなよッ!  











声がはっきりと荒れ、

空気が一瞬で張り詰める












反射的に顔を上げると、

そのまま視線がぶつかる



何かを言いかけて、止まる












胸の奥が、ひやりと冷える



それでも、目は逸らせなくて

反対にユンギさんが、少しだけ顔を逸らした












𝖸𝖦
𝖸𝖦
  ……悪い  











低く落ちる声












さっきよりも、ずっと抑えられている















沈黙が戻って

何も言えないまま、時間だけが過ぎた












(なまえ)
あなた
  ……分かってます  











ユンギさんが言おうとしていることは、

分かってる











𝖸𝖦
𝖸𝖦
  ……分かってるつもりだろ  









𝖸𝖦
𝖸𝖦
  自分のことも、ちゃんと入れろよ  












間を置かずに返される












胸の奥に、鈍く落ちても

それでも顔は上げられなかった



言葉を探しても、何も出てこない

…だから、これでいい












そう思っているのに、

何も言えないまま立ち尽くす














ユンギさんは、視線を落とすと

そのまま、立ち上がって

一瞬だけ、足が止めると

何も言わずに、部屋を出ていった

















終わったわけじゃないのに、

終わらせたみたいに静かで

何も解決していないまま、

その場だけが止まっていた











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