第88話

President's identity
5,339
2022/10/21 10:00
♪ ピーンポーンパーンポーン
魔村
魔村
先程旗印が提出されました。
旗印提出は特進クラスの織田信長くん。
豊臣秀吉
豊臣秀吉
やっぱ戦うんか
魔村
魔村
そして特進クラスの徳川家康くん
上杉謙信
上杉謙信
家康も?
魔村
魔村
提出された旗印はこちらです

そう言ってモニターに映し出された信長様と家康くんは、お互いを倒すと同時に旗印を出した。
井伊直政
井伊直政
同時に旗印?
上杉謙信
上杉謙信
では負けた方が戦う権利も失う
明智光秀
明智光秀
まさに最終決戦。家康くん⋯
日下部みやび
日下部みやび
本当にこれでいいのですか?
豊臣秀吉
豊臣秀吉
どうした、みやびちゃん?
日下部みやび
日下部みやび
いえ、なんでもございません。

信長様の旗印提出に特進クラスのみなさんがざわめいている頃、私は信長様たちと共に神社へと向かっていた。
魔村
魔村
あなたさんも?
織田信長
織田信長
あなたは見届け人だ。
手出しはさせぬ。
それでいいよな、あなた?
あなた

はい


信長様とにそう返事をして、私は二人から少し離れた木の下へと移動した。
別府ノ守 与太郎
まさに最後の戦にふさわしい顔つき。
わしからそんなふたりにプレゼントを用意した。

そう言って2人には木刀が手渡された。
別府ノ守 与太郎
さあ始めようぞ。思う存分暴れてみせい!
織田信長
織田信長
家康⋯
徳川家康
徳川家康
信長⋯
魔村
魔村
それでは旗印戦開始!

魔村さんの言葉と共に、信長様と家康くんの戦いが始まった。
織田信長
織田信長
家康、すまない
徳川家康
徳川家康
あなた

信長様⋯


本当は戦いたくない。
そんな信長様の気持ちが痛いほど伝わってくる。

だけどその先の戦いのために、信長様と家康くんは戦い始めた。
徳川家康
徳川家康
ハァッ!!
織田信長
織田信長
ヤッ!!

互角に戦っていた信長様と家康くん。
だけど、一瞬背中を取られた信長様は制服を木刀で着られてしまった。
あなた

信長様っ!!

織田信長
織田信長
⋯ッ

そして大きな音を立てて、信長様の木刀が家康くんの木刀によって弾き飛ばされた。
徳川家康
徳川家康
終わりだ!

そう言って殴りかかる家康くん。
怖くて目を背けたくなる私は弱いのかもしれない。

だけど、信長様が負けるはずないと信じて必死にその戦いを目で追った。

その瞬間だった。
あなた

入った⋯

徳川家康
徳川家康
あ⋯あぁぁ⋯、

喉元に扇子を突き立てた信長様の前に、家康くんが倒れ込んだ。
徳川家康
徳川家康
もう⋯引き返せん!
俺は徳川家康だーっ!!
あなた

家康くん⋯


家康くんは力を振り絞って信長様に殴りかかるけど、信長様はその拳をいとも簡単に受け止めた。

織田信長
織田信長
俺の名は織田信長ーっ!!

そして家康くんの上を飛び越えると声を高らかにあげて、家康くんに最後のパンチを食らわせた。
徳川家康
徳川家康
うっ、う⋯
あなた

家康くんっ!

織田信長
織田信長
来るな、あなた!
あなた

⋯ッ!!


地面へと倒れた家康くんに駆け寄ろうとした私に、信長様は声を上げた。
徳川家康
徳川家康
終わらせろ。トドメをさせ。
あなた

もう、おやめくださいっ!!

徳川家康
徳川家康
⋯ッ

家康くんに拳を突き出した信長様は、家康くんに触れる前にその手を止めた。
徳川家康
徳川家康
どういう事だ?
織田信長
織田信長

固く握られていた手はゆっくりと開かれて、倒れている家康くんに差し出された。
徳川家康
徳川家康
情けか?
織田信長
織田信長
違う。ここからは貴様の違うが必要なのだ。そして貴様らの力も。

そうドローンカメラの先の特進クラスの皆さんへ声をかけた。
織田信長
織田信長
手を取れ、家康。
貴様はきっと変われる。
あなた

家康くんなら、変われます!

武田信玄
武田信玄
家康っ!
駆け寄ってきた武田くんは家康くんを抱き起こした。
徳川家康
徳川家康
武田⋯
武田信玄
武田信玄
人は城。人は石垣。人は堀。
情けは人を繋ぐ。心のままに進め。
徳川家康
徳川家康
⋯ッ

武田くんは優しく微笑んで頷いた。
徳川家康
徳川家康
信長、こんな俺でも変われるのか?
織田信長
織田信長
それを心から望むのなら。

そう答えた信長様の手を家康はしっかりと握った。
織田信長
織田信長
是非に及ばず
あなた

⋯ぐすっ、

織田信長
織田信長
なぜ泣く(笑)
あなた

こんなの泣くに決まってるじゃありませんか!

織田信長
織田信長
あなた。泣くな、笑え。

そう言ってもう片方の手を私の頭に乗せるから、私は更に涙を流した。
魔村
魔村
この勝負
織田信長
織田信長
要らぬ!
魔村
魔村
⋯?
織田信長
織田信長
勝ち名乗りなど要らん。
戦いはまだ終わっていない。

そう言った信長様越しに、甲冑を纏った人が見えた。
あなた

あの方は⋯

徳川家康
徳川家康
信長⋯
織田信長
織田信長
総長、貴様に用がある

建物の中に入っていった信長様は総長さんの前に立つと強い口調で話し出す。
織田信長
織田信長
本当の戦いはここからだ
あなた

⋯ッ


大きく振り下ろされた木刀は、総長さんにぶつかった。
別府ノ守 与太郎
フッフッフッフッ
あなた

この声って⋯


聞いたことある笑い声。
さっきまでそこにいたAI理事長がいないことも私の疑いを確証へと導いていく。
別府ノ守 与太郎
やはり気づいておったか。
総長の正体がわしだということに。
織田信長
織田信長
さぁ、最後の戦だ。理事長。

兜を外した理事長に、信長様は戦いを挑んだ。

プリ小説オーディオドラマ