家に帰ったところで辛いだけ
私は息を止めて過ごす
生きるために
6時近くになり、"あいつ"の声がする
甘ったるい声がする
気色悪い
でも
笑顔でいなきゃ
今日も食卓には料理が並んでいない
生魚だとか生肉だとか
米も炊かれてないものだし
ただ調味料をかけただけなのに
食べれるわけないでしょ…?
食べれない
食べないと
食べれるわけない
そうだ
口に入れるんだ
後から吐き出せばいい
大丈夫だ
苦しい
肺がうるさい
苦しい
「それでこそ"私"の娘」?
私はあんたの娘じゃない
お母さんはお母さんだけ
こんなやつに代われるわけがない
お母さんは美味しいご飯を作ってくれた
食べきれなくても殴ってこなかった
ヒステリックに行動しなかった
ガチャ…バタンッ
お父さんまで帰ってきた…
どうして…?
お願いだから
来ないで
来ないで
私はクローゼットに入り息を殺した
バタバタバタバタ…ガチャン
体に入っていた力が一気に抜ける
あいつらが寝るまで静かにしないと…
_深夜2時_
部屋から出た私は冷蔵庫に入っていた食べ物を口に入れた
ガタンッ
起きてきた…ッ
慌てて冷蔵庫を閉め、息を殺す
心臓が飛び出るかと思った
お母さんがあの声になったら
本当に………