*あなたside
そして、あっという間に梟谷のセットポイントになって試合は終わった
試合が終わった瞬間、向こうのセッターがこっちにやってきた
黒尾「どーした、赤葦」
「ちょっと、この子借りていいですか?」
その人は私を指さした
あなた「え、私!?」
「はい、あなたです」
黒尾「……ここじゃ話せねーの?」
「まぁ、できなくはないですけど……」
クロくんは私をぐいっと引き寄せた
黒尾「うちのマネージャーなんでね、主将の俺を通してくださーい」
「まぁいいです…俺、赤葦京治です」
あなた「あ、空井あなたです」
赤葦さんは無表情のまま話し始めた
赤葦「木兎さんをあんなに早く復活させられる人初めて見ました。ちょっと色々聞きたいんで連絡先教えてくれませんか?」
私が口を開こうとすると、クロくんが手で私の口を覆った
黒尾「悪いけど、諦めてもらおーか」
赤葦「黒尾さんには聞いてないです」
バシバシクロくんの腕を叩くと、渋々離してくれた
あなた「ぷはぁ……いいですよ!」
赤葦「ありがとうございます」
黒尾「ちょっと、あなたちゃーん?よく知りもしない人に連絡先なんて教えるもんじゃないでしょー?」
クロくんは私の顔を上に向かせてそう言った
あなた「同じ梟谷学園グループだから、また会う機会ありそーだし、良くない?それに、昨日だって烏野の人と交換したよ?」
そう言うと、クロくんはじーっと私を見た
黒尾「本音は?」
あなた「……あわよくば、梟谷の情報が欲しい」
逃げられないと思い、私はそう言った
黒尾「はぁぁ……このバレー馬鹿……」
あなた「だめ……?」
今度は私がじーっとクロくんを見つめた
黒尾「……しゃーねーな」
そう言って、クロくんは私の顔から手を離した
あなた「そんなわけで、交換しましょ!!」
赤葦さんに向き直り、そう言った
黒尾「さっきの会話、全部聞かれてるからな」
あなた「もちろんわかっています!その上での開き直りです!」
赤葦さんを見ると、少し表情が緩んだ気がした
赤葦「はい、しましょ」
そこにかおりさんと雪絵さんも来て、2人とも連絡先を交換した
そうして、梟谷は自校へと帰って行った
そのあと、今日は早めに部活を終ることになった
あなた「やっぱ、木兎さんすごかったなー!!」
片付けをしながら灰羽と話していた
灰羽「お、俺もすぐにあんな風になるし!!」
灰羽は木兎さんに対抗するようにそう言った
あなた「まず君はレシーブです。」
夜久「もっと言ってやれー!」
モップがけをしている夜久さんがそう言った
灰羽「夜久さぁぁん!!酷いっすよぉぉ!!」
山本「リエーフ、うるせぇぇ!!」
黒尾「お前もうるせぇ」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。