第3話

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2022/09/24 12:49
恩田カエデ
生意気な子ね。それならあなたには…
恩田さんは、自分の顔を私に近づけた。
恩田カエデ
…とってもスペシャルなことをしてあげるわ。
明日来ミカ
私は、やってしまったのだ。
この教室での掟。

風に、逆らう。
カザミドリのように、できなかった。

そんな子は…
恩田カエデ
……壊れた子は、処分しなきゃね
そんな子は、生きていけないから。
海南ななか
…ぁ……
この物語は、壊れきった世界を生きる…

壊れた私の物語だ。













海南ななか
あ…あの……ミカ。本当にごめんなさい。私が何も言わなければ…
放課後に近づくなり、ななかが私に謝りにきた。
明日来ミカ
別に良いよ。ななかは悪くないし。
本心を言っても、ななかはずっと謝っている。
ななかをこんな風に罪悪感に飲ませた私は、何を言うことも出来なかった。
恩田カエデ
明日来さん。それじゃあ、私についてきて
明日来ミカ
はい
恩田さんの後ろを歩く。
歩く距離はそれほどでもなく、すぐ近くのトイレに着いた。
恩田カエデ
…じゃあ、まずは床に座ってこれをやりなさい
そう言って、恩田さんはドリルを渡してきた。
その量は膨大で、正直すぐに終わるとは思わなかった。
恩田カエデ
まだまだやることがあるんだから、とっととやりなさい!
私は、意を決してトイレの床に座りドリルに向かった。



でも、やっぱり問題は難しく、思うように進まない。
恩田カエデ
早くやれよ。まだまだあるっつてんだろ!
明日来ミカ
っ……あ゛ぁ゛!
座り込んでいる私のお腹を、恩田さんは蹴り上げた。
それだけでは済まず、私の足を踏みつけた。
明日来ミカ
う゛ぅ……
恩田カエデ
…はぁ…こんなに頭が悪かったのね。じゃあ、次はこれよ
そう言って取り出したのは、赤色のトランプだった。
恩田カエデ
私、あんまりこういうのをやる機会が無いのよね。だから…
明日来ミカ
……
恩田カエデ
私の遊び。付き合ってくれる?
明日来ミカ
は……はい…
私が答えると、恩田さんはトランプの数枚を取った。
恩田カエデ
じゃあ、この中からあなたが1枚を取る。それが、1だったらこのまま解放。2だったら誰も知らない秘密を暴露。3だったら…
嬉しそうに、頬を緩める。
恩田カエデ
一生私の言うことを聞く!
明日来ミカ
…え……
恩田カエデ
さぁ、選びなさい!
恩田さんの遊び。いや、軽いギャンブルのようなものに、私は巻き込まれた。
それだけではない。

なによ…それ…!
明日来ミカ
あ……ぁ………
泣き出しそうになっていると、恩田さんが急かし始める。
恩田カエデ
早よしろよ!待ってる時間暇なんだけど
明日来ミカ
…ぁ…あ…あ…あ!
半分私はパニックになりながら、目を瞑ってトランプを取った。
恩田カエデ
…じゃ、その番号は何?
ゆっくり目を開けて番号を見ると…
明日来ミカ
あああああああ!
もう、半分パニックどころではない。

こんなのは…こんなのって…
恩田カエデ
番号。何?
明日来ミカ
………
そのトランプの番号は…
明日来ミカ
……さ……ん…3…です……
どんなに目を擦っても変わらない数字に、殴りたくなる思いだった。

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