その日の夕方。
その頃にはすっかり体調も良くなっていた。
ラムリはずっと部屋にいてくれて、本を読んでくれたり、ご飯を食べさせてくれたりした後に寝てしまった。
とても幸せそうな顔で眠っている。
コンコンコン
少し我儘に言ってしまったが、フルーレは笑って用意を手伝ってくれた。
こういうことがある、というのはサリバンと同様に、入間にはいずれ伝えなくてはいけないことだ。
寝言を呟く彼はどんな夢を見ているんだろう。
こうして、支度を済ませたあなたのお名前はドローイングルームにやって来た。
他の執事は、緊急時以外に部屋に近付くことは禁止されているらしく、仕事を終えたフルーレは自分の作業に戻っていった。
コンコンコン
ペコリとお辞儀をした入ると、小型化したサリバンが涙を流しながら抱きついてきた。
サリバンと向き合って席に座り、話に参加する。
どうやら、皆はあなたのお名前の消えた記憶や身体の状態について話し合っていたらしい。
ルカスから聞いたことを確認するように、サリバンはあなたのお名前に、丁寧に質問を繰り返した。
一通り質問を終えると、サリバンはうんうんと頷き、ニコッと笑った。
サリバンはあなたのお名前の目を真摯に見つめて言った。
Devil's Palaceでのおじいちゃん宣言。
そんな2人を見ていたベリアンとルカスも思わず笑ってしまう。
小さい頃は、こんな風になるとは思えないくらい無愛想だったのに、と。
聞くと、入間にはこの話を聞かせておらず、現在は隣のシッティングルームにて待機して貰っているらしい。
あなたのお名前は、失礼します、と告げて部屋を飛び出した。
ノックをして扉を開けると、入間とナックが横に並んで何やら作業をしている。
あなたのお名前は入間の手元をじっと見つめた。
すると、続けて入間は待っている間のことを聞かせてくれた。その楽しそうに語る入間と微笑ましく見守っているナックを見て、あなたのお名前はふと思った。
とんでもない悪魔たらし…なのかも。
先日のアスモデウスといい……
しかし、その笑顔に救われるあなたのお名前なのであった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。