覚悟を決めたあなたのお名前は切り出す。
ナックは最後まで笑顔で部屋から退出する。
何も聞かず、不審がりもせずに行ってくれるナックには感謝しかない。
入間がサリバンから聞いたことは、今日のように、突然、体調不良になることがあるという、真実を濁した内容だった。それから、生い立ちについても軽く説明されたらしい。"戦場で拾った"と。
つまり、彼には羽については自分で伝えろ、ということ。
その記憶喪失の為に、体調不良が起こるのだと説明した。半分が外れで半分が正解。
加えて、あなたのお名前はこのDevil's Palaceや仕事についても説明しておく。
此方は全て真実。
事細かに、魔界について疎い入間でも分かりやすいように努力して説明した。サリバンとの孫的な関係を大衆に明かせない理由も。
入間は全てを受け入れた。
しかし、そんな様子を見ていても言い出せなかった。
自分の翼と魔術については、どうしても。
入間の発言にあなたのお名前は、キュウっとなる。
それは嬉しいということでもあるし、全てを話しきれない罪悪感でもある。
しかし、それは入間も同じだった。
2人は笑った。
グッと距離が近付いたような気がする。
それから入間は、自分のことについても少し語ってくれた。バビルスへの入学が突然決まって、友達もいないから不安だったということを。
全てではないにせよ、互いの気持ちをさらけ出したことで、サリバンの真意に気付いた。
全部お見通しだなんて、流石サリバン様。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。