第11話

大事な話
153
2024/07/29 15:23
あなた
…ごめん、ナック
覚悟を決めたあなたのお名前は切り出す。
あなた
大事な話があるから、少し出て貰ってもいい…?
ナック・シュタイン
はい、勿論です
イルマ
ナック・シュタイン
それでは入間様、続きはまた今度ということでよろしいでしょうか
イルマ
はっ、はいっ…!ありがとうございました!!
ナックは最後まで笑顔で部屋から退出する。
何も聞かず、不審がりもせずに行ってくれるナックには感謝しかない。
あなた
…入間様、サリバン様から私のこと、何か聞きましたか?
イルマ
…うん、少しだけ
入間がサリバンから聞いたことは、今日のように、突然、体調不良になることがあるという、真実を濁した内容だった。それから、生い立ちについても軽く説明されたらしい。"戦場で拾った"と。
つまり、彼には羽については自分で伝えろ、ということ。
あなた
私は、戦争孤児で…サリバン様に拾われ、今に至ります
あなた
だけど、それよりも前の記憶がなくて……
その記憶喪失の為に、体調不良が起こるのだと説明した。半分が外れで半分が正解。
イルマ
そうなんだ……
加えて、あなたのお名前はこのDevil's Palaceや仕事についても説明しておく。
あなた
本当は、私はサリバン様の孫ではなく、従者という立場にあります
あなた
13冠の皆様と同等とは言えなくても、ある程度の権力は持たされていて、領地の管理を…
此方は全て真実。
事細かに、魔界について疎い入間でも分かりやすいように努力して説明した。サリバンとの孫的な関係を大衆に明かせない理由も。
イルマ
へぇ…あなたのお名前ちゃんってすごいんだね…
あなた
え?
イルマ
だって、記憶がなかったり体調不良で大変なのに、仕事も学校もあって
入間は全てを受け入れた。
しかし、そんな様子を見ていても言い出せなかった。
自分の翼と魔術については、どうしても。
あなた
いえ…そんなこと…
イルマ
ううん。記憶がないこととか、そういうことって、ヒトにはあんまり言いたくないことだと思うし、
イルマ
すごく勇気が要ることだと思う…!
だから、あなたのお名前ちゃんはスゴいよ!
あなた
………!!
入間の発言にあなたのお名前は、キュウっとなる。
あなた
(全部話せた訳じゃないけど…)
それは嬉しいということでもあるし、全てを話しきれない罪悪感でもある。
イルマ
(僕は、自分の秘密人間だってこと…言えないや)
しかし、それは入間も同じだった。

あなた
い、入間様…!私は、入間様もスゴいヒトだと思う!
イルマ
えっ?
あなた
入学式の日からアスモデウスを配下にしたり、禁術を唱えたり、皆からあっという間に気に入られたり…!
あなた
正直、学校は不安がたくさんあったけど、入間様のお陰で楽しく過ごせそうだなって思えました!
イルマ
あなたのお名前ちゃん……!
 
イルマ
フフ…ありがとう!
あなた
こちらこそ…!
2人は笑った。
グッと距離が近付いたような気がする。

それから入間は、自分のことについても少し語ってくれた。バビルスへの入学が突然決まって、友達もいないから不安だったということを。
イルマ
そっか…だから"似た者同士"なんだ…!
全てではないにせよ、互いの気持ちをさらけ出したことで、サリバンの真意に気付いた。
全部お見通しだなんて、流石サリバン様。
あなた
改めて、よろしくお願いします!入間様
イルマ
うんっ!

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