第12話

使い魔召喚
154
2024/07/29 15:26
その後、他愛もない会話をしていると、サリバンたちの話し合いが終わって、入間たちは帰っていった。

あなたのお名前は、早速サリバンからの入学祝いを開けてみる。
あなた
こ、こんなに…!
刺繍入りのハンカチにローブ、魔導書なんかが丁寧にラッピングされ、たくさん贈られてきていた。
一つ一つ丁寧に開けていき、クローゼットや本棚に仕舞っていく。

そうして翌日、あなたのお名前は学校生活に対する希望に満ちた気持ちで朝を迎えることができたのだった。
あなた
行ってきます!
ムー
行ってらっしゃいませ!主様!
今日は使い魔召喚の2日目。
使い魔召喚は、2つのグループに分けられ、2日間に渡って行われる。
使い魔の召喚は位階ランクの決定に大きく関わるものだが、あなたのお名前はそんなこと気にもとめず、どんな魔獣が来てくれるのか、それをとても楽しみにしていた。
あなた
(どんな魔獣が来てくれるんだろう)
あなた
(あれ、ムーって……魔獣…?)
そんな考え事をしながら儀式開始を待っていると、聞き覚えのある声が聞こえた。
レイラ-・ウツ
こっ…コイツは魔獣デビルポーク!?
トイフェル・シャオロン
誰だこんなスゲェ使い魔を召喚した奴は!?
あのニット帽の生徒だ。
あなた
(同じ班だったんだ)
それから間もなくして、モモノキ先生の合図によって召喚の儀が始まる。
モラクス・モモノキ
本日の召喚の儀、監督官を務めるモラクス・モモノキです。よろしく
トイフェル・シャオロン
あれ?使い魔召喚の担当って確か…
カルエゴ…って先生だって聞いてたけど
モラクス・モモノキ
私は代理よ
カルエゴ先生は先日のグループでの監督中にトラブルがあり、現在療養中で…
先生が説明している途中、こんな噂話が聞こえた。

なんでも、特待生イルマがカルエゴ先生を使い魔にしてしまったとか…
あなた
(悪魔が悪魔を…?)
あなた
(そんなことが…)
気にはとまったが、いつの間にかあなたのお名前の順番が回ってきてしまった。
モラクス・モモノキ
次、あなたのお名前あなたの名字(「・◯◯○」の形で!)。前へ
トイフェル・シャオロン
あれ……俺の、相棒パートナーは……
羊皮紙を受け取り、ニット帽の生徒と入れ替わるように魔方陣へと歩み出る。
生徒
あなたのお名前あなたの名字(「・◯◯○」の形で!)って……あの、変わり者の屋敷デビルズパレスの当主……!?
生徒
あの高位階ハイランク悪魔を束ねてるっていう…!?
注目を集める。

それもそのはず、Devil's Palaceデビルズパレス位階ランクも授かっていない主君に仕える、あの13冠でも呆れるほど変わっている悪魔たちの集まりなのだから。
まして、今まで謎に包まれていた主が突然姿を現したとなれば…
あなた
(これって、ムーが来ちゃったりするのかな?)
期待が高まる中、あなたのお名前は全く違うことを考える。
皆の空気に呑まれまい、という無意識下の抵抗だった。
血で羊皮紙に円を書き、深呼吸をして蝋燭の火にかざす。
あなた
………!
途端に炎が膨れ上がり、身を包む程の煙に覆われた。
自らの期待と興奮の最中、煙はゆっくりと晴れていく。
一同
おぉぁおおっ!
姿を現したのは、紅蓮色の頑丈な鱗を身に纏った、小さなドラゴンだった。胴体や尾は蛇のようにしなやかで、強靭な翼を持っている。
モラクス・モモノキ
赤い竜レッド・ドラゴン…!?
生徒
マジかよ…
赤い竜はあなたのお名前の周りを一周すると、その肩に足を停めた。
と、再び歓声が上がる。
あなた
よろしくね、赤い竜グラン
彼は喉を鳴らす。
あなたのお名前の声に応えたんだ。
トイフェル・シャオロン
(なんやアイツ…!!俺よりも目立ちやがって…!)

プリ小説オーディオドラマ