第31話

【続編 #2】公表 その2
4,905
2024/12/31 02:11 更新
帰る前に、
叶くんと共有しているカレンダーアプリを確認する。
あなた
(今日は外出の予定は、なし、だね)
あとは、配信してるかどうかを確認しよう。
あなた
(……ふふ、してる)
楽しそうに配信をしている叶くんが脳裏に浮かび、
思わず笑みが零れる。
あなた
「これから帰ります。
配信中にごめんなさいなんだけど、
ほんの少しだけ時間ください」
メッセージを送信してから、帰路に着いた。
帰宅して、送ったメッセージを確認すると、
既読はついていた。

荷物を置き、ジャケットだけ脱ぎ、
叶くんの配信部屋にノックをしてから入った。
あっ、奥さん帰ってきたので、
一旦ミュートしまーす
すぐに気づいてくれて、マイクをミュートにして、
ゲーミングチェアをくるりと回して立ち上がり、

両手を広げてくれた。
あなた
ごめんね、配信中に……
抱きつきながら、謝る。
いいよ。
あなたさんからこんなおねだり初めてだからさ。
……なんかあった?
頷いて答え、
あなた
ぎゅーってして、
キスしてほしい。

とりあえず、それだけ。

……だめ?
ふふ、ダメなわけないじゃん
抱きしめる力が強くなり、
ものすごく安心する。

顔を上げると、
優しく唇が触れた。
あなた
(叶くんの体温……、好きだなぁ)
初めてした時に驚いた唇の熱さも、
今では当たり前になり、
そうでないと落ち着かないまでになっている。
あなた
……ありがとう
離れてしまう唇が名残惜しいけれど、
当初の目的は果たせた。

上書きしてくれた。
……まだなにかありそうだね。
今日はもう配信やめるから、
話聞かせてくれる?
……浮かない顔を、してしまっていたのだろうか。
とりあえずの納得をしたつもりになったけれど、

……まだ、……もっと、
と思ってしまったのがバレているようだ。
あなた
でも……配信、いいの?
いいよ。
あなたさんの心配が片付いたら、またするよ。
最優先は、あなたさんだもん。

すぐ終わるから、ちょっと待ってね
あなた
うん、ありがとう
私がそう答えると、叶くんは座り直してパソコンに向かった。
ただいまー。
奥さんがちょっと心配なので、
今日の配信は一旦ここで終わります。
突然でごめんね。

またねー
そしてまた、イスをくるりと回し、
大丈夫?
と、それはもう甘い声で言いながら抱きしめてくれる。
あなた
叶くん……
優しさが嬉しくて、抱き締め返しながら、名前を呼んだ。










叶くんの背後で、
パソコンのディスプレイがすごい勢いで動いていた。


びっくりして、思わず叶くんの背中をバシバシと叩くと、
何事かと叶くんが私の顔を見たから、

私は一生懸命、無言でディスプレイを指差した。
……あ
振り向いた叶くんは、一言そう零すと、

てへっ、と笑って、

私の頭をぽんぽんと触り、
「待ってね」と口だけ動かして伝えてきた。
配信切り忘れるとか、
何年配信やってんだってね!
優しい声してた?

やっちゃったなぁ。
奥さんだけのものなのに……。
内緒にしといてね
奥さんの声入ってた?

美人なの声でわかる?
すごいね。合ってるよ
すごい勢いで流れるコメントの中から読み取れるのが凄い。
これも技術のひとつだよね。
私の声入っちゃったの恥ずかしいな、なんて、
珍しい叶くんの失敗に和んだ。

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