彼の言った“知りたい”という言葉に
私は引っかかってしまった
…、深い意味が隠れている気がした
そして私も
彼のことを知りたいと思った
だから私は賭けに出る
彼はきっと気づいていない
これは私に有利だということに
私が本当のことを言うかも分からない
本当のことを言ったとしても
名前を知らなきゃ探しづらい
どちらにしろ私に運が向いている
気付かれた
運は私に向いていなかった
てかこれは運なのか?
嫌な予感がする
私は彼の言葉に被せるように
いや、遮るように、
それ以上は言わせないように
話し始めた
…たぶん、私が探す賭けの答えが
だれなのか分かった気がする
それに…、
きっと彼自身も気付いている
なら続ける必要がない
真実は分かった
でもその真実を疑う自分がいる
だってあまねはこんなにクズじゃなかった!
彼は急にため息をついた
私に対して文句を言うんだろう
そう思った私は
彼を無視してもう行こうと思った
なのに足を止めてしまった
あぁ、私は本当に弱いみたい
今すぐこの場から逃げたいと思ってる
いや、もうすでに足が動いてる
なのに、彼は私の腕を掴んだ
きっと彼岸では話さない
彼らがアオイちゃんを
助けに来る
助けに来るということは“断絶がおわる”
私達怪異が彼岸に行く必要もなくなる
ということ
私はきっとずっと彼から逃げる
此岸に戻っても
彼の姿を見つけないように
きっと逃げ続けるんだ
私は彼を無視して歩き始めた
“雨音が響いていますね”













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。