……着いた。
ここが戦兵団出陣場かぁ、
広いなぁ。
整列と点呼を終えて先頭を見る。
……これまたなんとむちゃくちゃな命令。
……これまたなんと適当な説明。
まぁ時間が無いのは分かるけど
もうちょっと丁寧でもいいんじゃないんかな?
__は ?
あの日の風景がフラッシュバックして
意識が飛びそうになる。
目をつぶって、息をゆっくり吸って、吐く。
大丈夫、大丈夫。
平気。落ち着いた。
はっ、願ったり叶ったりよ。
やってやろうじゃないの。
着替えてきて良かったぁ。
……鍵閉めたっけ?まぁいいや。
私は立式シューズを履いてスイッチを入れる。
そして2本の剣を腰のベルト指す。
両腰に1本ずつある計2本の剣、
これだけが魔族を倒せる唯一の武器。
確か2箇所に刀の損傷がないと復活するんだっけ?
だから、1本でも折れたらアウトだ。
私は習ったことを頭の中で復唱する。
にしても立式シューズを使って移動するって
まぁまぁ大変だなぁ。
捕まるものがない空中で
バランスを取りながらスケート。
あの訓練が無ければ絶対無理!
いや受けても難しいか。
つっかえる向こうの列を見て
しみじみとそう思う。
さて、もう少しで到着だ。
覚悟を決めろ。
見つけたら一瞬で剣を抜いて切る。
……ってしたいのは山々だけど。
人がいたら人の救助が優先なんだよね!
目の前には逃げ惑う人たち。よし!
人の救助優先ケースと見た!
とりあえずこれであの人たちは安心!
ということで早速戦闘用意。
え、首に、2本
刺すんだよ、ね。
目の前で暴れてるでかいヤツを見ると
つい知識を疑いたくなる。
みんなが動いてないのもあるけど。
……よし、もう行っちゃおう!
……どうだ?!
やった、効いた!
バタンッとそのまま倒れた
もう、確実に死んだかな。
周りからざわめかれてることと
怜央の刺すような目線は気にしないでおこう。
怜央と咲からのお説教は後でとして。
効くってことが分かった今
やるべきことはただ1つ。
切って切って刺しまくる!
……だ れ だ よ こ の 人。
いきなり現れた呑気な大阪弁兄ちゃん。
おっと、怜央たちより先に説教か?
とりあえず話が見えないし
集団行動って言うなら早く動こうよぉ……
怜央が来たら面倒なんだから。
少ないそれぞれの期でも
区別するためにナンバー。
まあ出席番号みたいなものがつけられる。
あれ、蒼が
纏入で8なのに。
とうが、が9?
……そんなことあるんデスネ。
へえ、どうでもよかったナ。
サラッとお互いにしたな。あいつ。
って!
ここは戦場。油断は大敵だ。
私は急いで剣を構え直した。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。