第5話

05.
97
2026/05/18 14:29 更新
夕日が、花を染める。

オレンジ色の花は、少し切なく見えた。


────変わらないものなんて、ない。

そう思っていたのに。

変わらないものが、ひとつだけ残ってしまった。


それが何かは、まだ言葉にできなかった。
あの場所に来てしまった。
あなた
……ほんと、やめたいのに
苦笑いしながら、あなたは花壇の前に立つ。

来ないって分かってる。

もう、何年も経ってるんだから。


それでも────
あなた
今日ぐらい、いいよね
誰に言い訳してるのかもわからないまま、しゃがみ込む。

オレンジ色の花は、変わらずそこにある。
あなた
ずるいよね
小さく呟く。
あなた
そっちは、ずっと同じなのに
?
……それ、俺にも言ってる?
突然、後ろから声がした。


心臓が、止まりそうになる。


ゆっくり振り返る。
あなた
……え
そこにいたのは────
JO
久しぶり
あの頃より少し大人になった、JOくんだった。
あなた
……なんで
それしか言葉が出てこない。
あなた
なんで、今さら……
声が震える。

嬉しいのか、悲しいのか、自分でも分からない。
JO
来たよ
JOくんは、まっすぐ言う。
JO
約束、守りに
あなた
……遅すぎるよ
思ってたよりも、強い声が出た。
あなた
私、あの日ずっと待ってたんだよ
JOくんは、何も言わずに聞いている。
あなた
来るって言ったじゃん
あなた
絶対行くって言ったじゃん
言葉が止まらない。
あなた
なのに、来なくて、連絡もなくて
あなた
ずっと意味わかんなくて
気づけば、涙がこぼれていた。
あなた
……最低だよ
静寂が落ちる。


風が吹いて、花が揺れる。
JO
ごめん
やっと、JOくんが口を開いた。
JO
行けなかった
あなた
……それ、理由にならない
JO
うん、ならないと思う
否定しないその言葉に、少しだけ戸惑う。
JO
でも
JOくんはゆっくり続ける。
JO
行こうとしてたのは、本当
ポケットから、何かを取り出す。

それは────

少し色あせた、押し花。
あなた
……それ
JO
覚えてる?
あの日、二人で見ていたオレンジ色の花。
JO
約束の日さ
JOくんは静かに言う。
JO
行く途中で、事故にあった
あなた
……え
JO
大したことはなかったけど、
しばらく入院して
頭が、追いつかない。
JO
スマホも壊れて、連絡もできなくて
あなた
……じゃあ
JO
退院して、すぐ来た
あなたは息を呑む。
JO
でも
JOくんは、苦笑いをした。
JO
いなかった
時間が、ずれていた。

同じ約束を守ろうとして────

すれ違っていた。
JO
それからも、何回か来たよ
あなた
……ほんとに?
JO
うん
押し花を、そっと見せる。
JO
そのたびに、これ持ってきてた
あなたの胸が、締めつけられる。
JO
ずっと、終わってないと思ってた
JOくんは言う。
JO
ちゃんと会って、話すまでは

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