第32話

新しい風が吹く日
438
2024/12/04 08:24 更新
 夏休みはあっと言う間に終わった。
8月の終わりに差し掛かったところで2学期がスタートする。
周りの同じ制服を着た子達はほとんど今日の実力テストの勉強をしてきたかの話をしている。
いつもは笑虎ちゃんと話しながら歩いているのに、今日は話さないどころか会わない。
_奏大@かなた_
奏大かなた
(………なんか、すっごい視線を感じるんですが!?)
私はびくびくしながら1年生の教室前廊下を歩くと、ある女子生徒達4人の言葉が耳に入った。
???
あれ• •がにこ先輩の彼氏?
???
らしいよ〜
???
めっちゃ中性的じゃん
???
え、それな?
一瞬女子かと思った
???
にこ先輩ああいう人が好きだったんだねー
???
あーでもなんかにこ先輩こんなの• • • •好きそう
???
分かる〜!!
悪いな、中性的で。
そして私は笑虎ちゃんの彼氏ではない。
さあこの子達は私に聞こえていないとでもお思いなのだろうか。まるで私が物のような扱いが成されているではないか。こんな見た目でも怒ればそれなりの気迫はある。はず。
時間もあるし、私はあの女子生徒に近づいた。
_奏大@かなた_
奏大かなた
ねぇ、君達?
まさか声を掛けられるとは思っていなかったようで全員が驚いた顔をする。
_奏大@かなた_
奏大かなた
別に噂するのは勝手だけど、本人に聞かれたらまずいでしょう?
_奏大@かなた_
奏大かなた
そんなことも分からないの?今の1年生は
???
え…………?
思考が追いつかないようでガッツリ固まっている。別に私も問い詰めたい訳ではない。
_奏大@かなた_
奏大かなた
とにかく今後は気をつけて下さい
_奏大@かなた_
奏大かなた
顔、覚えたからね?
_奏大@かなた_
奏大かなた
じゃあ、朝の貴重な時間を失礼しました
私は最後にそう言うとくるりと踵を返す。そしてまた同じように廊下を歩いていたら、またさっきの子達の声がする。
???
え、声めっちゃ好きなんだけど!
???
それな〜!!
???
最後の「朝の貴重な時間を失礼しました」とかまじかっこいー!
???
かっこいいって言うか可愛いよね!
???
分かる〜!
???
——!
恥ずかしい気持ちが6.5割。嬉しい気持ちが0.5割。腹立たしい気持ちが3割。
私は廊下を全力ダッシュで駆け抜けた。













































































 教室に着くと全員の視線が私に向く。私がは?と思った後すぐ、クラスの人達が一気に私に駆け寄ってくる。
クラスメイト
おい、お前バレー部のキャプテンと付き合ったんだろ!?
クラスメイト
恋の鉄壁• • • •落としたなんて凄過ぎる!
クラスメイト
なんて口説いたの?
クラスメイト
告白はどっち!?
_奏大@かなた_
奏大かなた
え、えぇ………
何だ、この噂。初っ端から言っていることが事実と違う。
まずもう一度言うが、私は笑虎ちゃんと付き合っていない。
そして恋の鉄壁って何だ。聞いた事ない。どこのあだ名だよ。
それと別に私は口説いていない。無意識のうちに口説いていたなら私はただの天然タラシ()ではないか。絶対に無いが。
_奏大@かなた_
奏大かなた
ごっ、誤解だから!
_奏大@かなた_
奏大かなた
そんなに気になるなら笑虎ちゃん本人に聞いて下さいっ!
私は集まってきた人達を追い払うように手をパタパタと振る。
クラスメイトは一斉にニヤリと笑った後、私に友好的な笑みを見せた。
クラスメイト
笑虎に聞けば良いんだな?
クラスメイト
じゃあ一緒に行きましょう
クラスメイトはニヤリと笑みを浮かべている。
_奏大@かなた_
奏大かなた
え、何で
_奏大@かなた_
奏大かなた
僕行かないよ?
クラスメイト
別に奏大連れてっちゃダメ何て言われてないから
クラスメイト
本人に聞けば良いんだもんね?
_奏大@かなた_
奏大かなた
………………
何だよ。全部向こうの計画通りですか。
残念。向こうの方が一枚上手でした。
























































クラスメイト
にーこっ!
笑虎
ん?
クラスメイト
こっち来てー
笑虎
分かった分かった
笑虎ちゃんはいつもの苦笑でこちらに来る。教室を出たところでやっと私の存在に気がついたようだ。
笑虎
って奏大もいるじゃん!
クラスメイト
そそ、お前の彼氏〜
笑虎
違うんですけどね
証言は一瞬で取れた。私はクラスメイトの腕を掴み、引き寄せる。
_奏大@かなた_
奏大かなた
はい!これでいいでしょ?
_奏大@かなた_
奏大かなた
帰るよ!
_奏大@かなた_
奏大かなた
笑虎ちゃんも、朝からごめんね?
笑虎
え、あ………
私は別れ際に笑虎ちゃんに耳打ちした。
_奏大@かなた_
奏大かなた
放課後キャレル来て






































































































































































 テストが無事終了し、終礼を終えたクラスから下校となる。
私はすぐ家には帰らず、図書室に行く。
司書さんから個室のキャレルの鍵を借り、部屋番号の横に名前を書く。司書さんには「テスト終わったばっかりなのに勉強なんて偉い」と褒められてしまったが、勉強する気なんぞゼロだ。
_奏大@かなた_
奏大かなた
後で一緒に勉強する子が来るんで、通してあげて下さい
私はそれだけ司書さんに伝えると鍵を受け取って鍵の番号と一致する部屋に入る。
少ししてから、笑虎ちゃんがキャレルに入ってきた。
笑虎
待たせちゃった?
_奏大@かなた_
奏大かなた
いや、全然大丈夫
_奏大@かなた_
奏大かなた
来てくれてありがとね
笑虎
いや………
私はキャレルに置いてある椅子を移動させ、お互いが向かい合って座れるように置く。
_奏大@かなた_
奏大かなた
立ち話も何だから、座ろっか
笑虎ちゃんは大人しく座ってくれる。
少しの沈黙の後、私は口を開いた。
_奏大@かなた_
奏大かなた
今日は、告白のお返事と…………
私は一呼吸置いてまた口を開く。
_奏大@かなた_
奏大かなた
僕が抱えてるものについて知って欲しくて、時間もらったんだ
2024年11月30日21時25分現在
気付いたら()総閲覧数5000、総いいね数440超えてました!

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