第43話

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2026/10/24 05:47 更新



仁人と別れてから、3日が経った。


あなたは、何度もあの日のことを思い返していた。


「俺は、今もあなたが好き」

「これからの俺たちを作っていきたい」

「あなたが自分の気持ちで、俺の隣にいたいって思ってくれるまで待ってる」


何度思い返しても、胸がいっぱいになった。


仁人は、答えを急かさなかった。


怖い気持ちがあることも、簡単には踏み出せないことも、全部受け止めてくれた。


だからこそ、今度は自分が勇気を出したかった。


あなた:「……もう、決まってるんだよね」


小さく呟いて、スマートフォンを手に取る。


本当は、ずっとわかっていた。


仁人のことが好き。


もう一度、一緒にいたい。


これから先の嬉しいことも、悲しいことも、隣で分かち合いたい。


ただ、また傷つくのが怖かっただけ。


でも、怖いからという理由で、好きな人を諦めたくなかった。


あなたは仁人とのトーク画面を開いた。


そして、ゆっくりと文字を打ち込んだ。


あなた:『仁人、今日少し会える?』


送信してから、心臓が大きく鳴り始めた。


数秒後、返信が届く。


仁人:『会えるよ!どうした?』

あなた:『直接、伝えたいことがあるの』


既読がついた。


少しして、返事が届く。


仁人:『……わかった。どこで会おうか』


あなたは、約束の場所を伝えた。

今度は、自分から。

今度こそ、自分の気持ちを伝えるために。

────

待ち合わせ場所に着くと、仁人はすでにそこにいた。


あなたの姿を見つけると、いつものように小さく手を振ってくれる。


仁人:「……あなた!」

あなた:「仁人!」


駆け寄ると、仁人は少しだけ不思議そうに笑った。


仁人:「どうしたの?なんか、いつもより緊張してない?」

あなた:「……してる」

仁人:「え、何それ。俺まで緊張するじゃん」

あなた:「ごめんね笑」

仁人:「いや、謝らなくていいけど……」


そう言いながら、仁人はあなたの顔を覗き込んだ。


仁人:「……大丈夫?」


その一言に、あなたは少しだけ泣きそうになった。


会うたびに、仁人は自分の気持ちを確かめてくれる。


無理をしていないか。


嫌な思いをしていないか。


自分の言葉で、ちゃんと話せているか。


その優しさに、何度も救われてきた。


あなた:「……うん。大丈夫」

仁人:「そっか」

あなた:「今日はね、仁人に伝えたいことがあって来たの」

仁人の表情が、少しだけ真剣になった。


仁人:「……うん。聞くよ」

────

2人は、近くの静かな公園へ向かった。


ベンチに座っても、あなたはすぐに話し始めることができなかった。


手のひらが少し汗ばんでいる。


何度も頭の中で練習した言葉なのに、いざ仁人を目の前にすると、うまく出てこなかった。


仁人:「……ゆっくりでいいよ」

あなた:「……うん」


仁人は、それ以上何も聞かなかった。


ただ、あなたが話し始めるのを待っていた。


その横顔を見て、あなたは思った。


この人となら、きっと大丈夫。


これから先、何もかもがうまくいくとは限らない。


忙しくて会えない日もあるかもしれない。


すれ違って、喧嘩をすることもあるかもしれない。


それでも、ちゃんと話し合いたい。


何も言わずに離れるのではなく、一緒に答えを探したい。


あなたは、ゆっくりと顔を上げた。


あなた:「……仁人」

仁人:「うん」

あなた:「私ね、ずっと考えてたの。仁人ともう一度付き合って、本当に大丈夫なのかなって」


仁人は静かに頷いた。


あなた:「また好きになって、また傷つくのが怖かった。前みたいに、仁人の気持ちがわからなくなったらどうしようって思った」

あなた:「でも、仁人と離れていた時間に気づいたの。私が本当に怖かったのは、傷つくことだけじゃなかった」

仁人:「……うん?」

あなた:「仁人の隣にいられなくなることが、嫌だったの」


声が少し震えた。


あなた:「何でもないことで笑ったり、今日あったことを話したり、疲れた日にお互いを気遣ったり……そういう普通の時間が、私は大好きだった」

あなた:「契約が終わってからも、ずっと仁人のことを考えてた。もう会えないってわかってたのに、また会いたいって何度も思った」


仁人の目が、少しずつ潤んでいく。


あなた:「……だから、もう逃げたくない」


あなたは、仁人の目をまっすぐ見つめた。


あなた:「仁人。私、もう一度、仁人の恋人になりたい」


一瞬、時間が止まったような気がした。


仁人:「……え?」

あなた:「……もう一度、付き合いたい」


仁人は口を開いたまま、しばらく何も言えなかった。


あなた:「……仁人?」

仁人:「……ごめん、ちょっと待って」


片手で顔を覆い、深く俯く。


あなた:「えっ、どうしたの……?」

仁人:「いや……嬉しくて、やばい」


その声が少し震えていた。


仁人:「……本当に?」

あなた:「うん。本当だよ」

仁人:「……俺でいいの?」


あなたは、思わず笑ってしまった。


あなた:「何それ。仁人がいいんだよ」


その瞬間、仁人の目から涙がこぼれた。


あなた:「……っ、仁人!」

仁人:「ごめん……いや、ほんとにごめん。泣くつもりなかったんだけど」

あなた:「……泣かないでよ、私まで泣いちゃうじゃん」

仁人:「……だって、ずっと聞きたかったから」


仁人は涙を拭いながら、あなたを見つめた。


仁人:「……ありがとう。もう一回、俺を選んでくれて」

あなた:「……ううん」

あなた:「私こそ、待っててくれてありがとう」

────

少し落ち着いてから、仁人はそっとあなたの手を取った。

仁人:「……じゃあ、俺たち、もう一回恋人ってことでいいの?」

あなた:「……ふふ、そうだよ」

仁人:「……やばい」

あなた:「さっきからそればっかり笑」

仁人:「だって、嬉しいんだもん」

あなた:「……私も、嬉しいよ」


仁人は、繋いだ手を優しく握り直した。


仁人:「……あなた」

あなた:「なに?」

仁人:「もう一回、ちゃんと言ってもいい?」

あなた:「……うん」


仁人は、少し照れくさそうに笑った。


仁人:「あなた。俺と付き合ってください」


あなたの目に、また涙が浮かんだ。


今度の言葉には、契約も、期限も、誰かに見せるための理由もなかった。


ただ、仁人自身の気持ちだけが込められていた。


あなた:「……はい。よろしくお願いします」

仁人:「……っ、よかった」


2人は顔を見合わせて笑った。


そして、仁人が少しだけ腕を広げた。


仁人:「……抱きしめてもいい?」


あなたは頷いて、彼の胸に飛び込んだ。


仁人の腕が、優しく背中に回る。


久しぶりの温もり。


ずっと恋しかった、大好きな人の匂い。


あなた:「……会いたかった」

仁人:「……うん。俺も」

あなた:「……ずっと、好きだった」

仁人:「……俺も、ずっと好きだったよ」


仁人は、あなたを抱きしめる腕に少しだけ力を込めた。


仁人:「……もう、恋人役じゃないんだね」


あなたは彼の胸元で、小さく笑った。


あなた:「……うん。もう、恋人役じゃないよ」

仁人:「……そっか」


少し間を置いて、仁人が囁いた。


仁人:「……俺の、本当の彼女だ」


その言葉に、あなたの涙がまた溢れた。


何度も願った未来。


もう一度、この人の恋人になりたいという願い。


それが今、ようやく現実になった。

────

帰り道。


2人は手を繋いで歩いていた。


仁人:「……なんか、まだ信じられない」

あなた:「私も笑」

仁人:「明日になったら、夢だったとかないよね?」

あなた:「ないよ笑。ちゃんと付き合ってるよ」

仁人:「……よかった」

あなた:「ふふっ」


仁人は、何度もあなたの顔を見ては嬉しそうに笑っていた。


あなた:「……そんなに見ないでよ、恥ずかしい」

仁人:「だって、彼女になったんだよ?」

あなた:「……そうだけど」

仁人:「……嬉しいんだもん」


あなたは繋いだ手を握り返した。


あなた:「……私も、嬉しい」

仁人:「……ねえ、あなた」

あなた:「ん?」

仁人:「これから、いっぱい思い出作ろうね」


あなたは、まっすぐ彼を見つめた。


あなた:「……うん。今度こそ、2人で」

仁人:「約束」

あなた:「約束」


2人は笑い合い、もう一度手を繋ぎ直した。


契約から始まった恋。


終わったと思っていた恋。


それでも、2人の気持ちは消えなかった。


そして今、誰かに決められた期限のない、本当の恋が始まった。

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