....え?
桜は真面目な顔で私を見つめた。
桜はいつもと変わらない、綺麗な笑顔を見せた。
「約束」
それを、私は守らなかった。
変わってしまった桜を、連れ戻すどころか復讐心で押し潰した。
裏切られたんじゃない。
裏切ったんだ。
笑い事ではないのに、何故か口角が歪んで笑ってしまう。
桜を裏切ってしまったことへの絶望よりも、最低最悪な私に失望したことの方が大きかった。
もう、あの時には戻れない。
全てが変わってしまった。
「もう一度」
なんて、そんなこと二度と思わない。
私は、この絶望と失望を抱えたまま暗闇で生きて不幸に死ぬ。
うん。それが良い。
─────────そう、思った時だった。
伏見さんが、私に抱き付いた。
何故か、その言葉が心に「すとん」と入った。
偽善でも、綺麗事でも、凄い言葉でも、心打たれる言葉でも、何でもない、ただの言葉が、妙にしっくりきた。
それから、何故か急に、涙が溢れ始めた。
すると、伏見さんが私の肩をぽん、と叩いた。
伏見さんは、笑った。
─────その笑顔はどこか、桜に似ていた。
それから私が泣き崩れたことは、伏見さん以外誰も知らない。
泣き崩れたなんて、かっこ悪いから。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。