穏やかな日差しが差す真昼。
眠気に抗わずこのまま寝ちゃおうかなぁ、なんて迷ってると、神妙な面持ちで隣の船に乗っていたナミちゃんが呟いた。
「無謀だわ」
『…ん、何がぁ?』
「このまま“偉大なる航路”へ入ること!」
「確かにな!この前たわしのおっさんから果物いっぱい貰ったけどやっぱ肉がないと力が」
「食糧の事言ってんじゃないわよ!!」
「このまま酒が飲めねェってのもなんかつれェしな」
「飲食から頭を離せっ!!」
相変わらず能天気なルフィとゾロくんにナミちゃんが怒鳴る。
でも確かに、そろそろ私もオムライス(好物)が食べたい……。
そう言ったら全力で食べさせてくれるだろうけど、流石にルフィとゾロくんに不憫なので言わないことにした。
私達の向かってるグランドラインは、世界で一番危ない所らしい。
その上ワンピースを求める強い海賊達が当然協力な船に乗ってうごめいてるとか…。
ナミちゃんの話に想像を膨らませてみるも、ルフィやシャンクスよりも強い海賊に会った事ないから分かんないや……。
「船員の頭数にしてもこの船の装備のなさにしても、
とても無事でいられるとは思えないわ」
「で?何すんだ?」
「“準備”するの!先をしっかり考えてね。
ここから少し南へ行けば村があるわ、ひとまずそこへ!
しっかりした船が手に入ればベストなんだけど____」
「肉を食うぞ!!!」
「人の話を遮るな!!!」
「あったなー」
『大陸だぁ……!』
「なに言ってんの、当然でしょ。
地図の通り進んだんだから」
『ナミちゃんすごーいっ!』
私の言葉に照れてそっぽ向いたナミちゃん。
可愛いなぁ、“つんでれ”ってやつだ、多分。
ナミちゃんが言うには、この奥に小さな村があるらしい。
船を岸に止めると、目の前には大きな坂が広がっていた。
「ふ―――っ、久しぶりに地面に下りた」
『ゾロくんったらずっと寝てたもんねっ』
「うるせェ//……ところでさっきから気になってたんだが」
「あいつら何だ」と坂の上を指差すゾロくん。
見上げると、太い丸太に隠れて此方をじーっと見ている男の子達が見えた。
一人は同年代だけどあと三人はまだちっちゃい。
私達に見つかった事に気付いたのか、子供三人が騒ぎながら逃げる。
とりあえず敵…ではないよね?
残った髪がモジャモジャな男の子は、恐る恐る此方を見て覚悟を決めたように胸を張った。
「おれはこの村に君臨する大海賊団を率いるウソップ!!!
人々はおれを称えさらに称え“わが船長”キャプテン・ウソップと呼ぶ!!!」
大海賊団のキャプテン……!
すっごく弱そうだけどこの人、実は強いのかな。
どうしよう、争う事になっちゃったら。
私無事でいられるかな……?
「この村を攻めようと考えているならやめておけ!!
このおれの八千万の部下共が黙っちゃいないからだ!!」
『(八千万人……!?)』
「うそでしょ」
『えっ…』
「お前は何で逆に本当だと思ったんだよ」
「ゲッ!!ばれた!!」とショックを受けるキャプテン・ウソップ。
嘘なんだ……
思わず驚いてしまった私にゾロくんの呆れた視線が刺さった。
爆笑するルフィにキャプテン・ウソップが怒鳴る。
でも嘘ついたのはあなたなんじゃ……。
「おれは誇り高き男なんだ!!!
その誇りの高さゆえ人がおれを“ホコリのウソップ”と呼ぶ程にな!!」
『埃……?』
「誇りだ!!!///」
「何!?仲間を!?」
『うんっ』
「仲間とでかい船か!」
「ああそうなんだ」
「は―――っそりゃ大冒険だな!!」
私達の旅を聞いたウソップくんが目を輝かせる。
目を伏せて得意げに指を立てたウソップくんの話によると、この村にあるお金持ちな家のお屋敷に船があるらしい。
「だが主と言ってもまだいたいけな少女だがな。
病弱で…寝たきりの娘さ…!!」
「え……どうしてそんな娘がでっかいお屋敷の主なの?」
「おばさん!!肉追加!!」
「おれも酒っ!!」
「てめェら話聞いてんのか!!?」
一年くらい前、病気で両親を失ってしまったらしい。
残されたのは莫大な遺産とおおきなお屋敷と十数人の執事。
ウソップくんは、「どんなに金があって贅沢できようと、こんなに不幸な状況はねェよ」と溜め息をついた。
「やめ!この村で船の事は諦めましょ、また別の町か村をあたればいいわ」
『そうだねっ、急ぐ旅じゃないし…』
「肉食ったし!いっぱい買い込んでいこう!」
「ところでお前ら」とウソップくんが笑う。
「仲間を探してると言ってたな……!」
「うんだれかいるか?」
「おれが船長になってやってもいいぜ!!!」
「「「ごめんなさい」」」
「はえェなおい!!」
『ウソップくん……』
「そんな憐れんだ目で見んな!!//」
「ねえクラハドール?」
「何ですかカヤお嬢様」
「わたし…ウソップさんに会いたい……」












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。