ぷりちゃんに布団を被せ、部屋から出て扉を閉める。
廊下で相変わらず呆然と突っ立っているアマルくんに話しかける。
なんか俺悪いことしたっけ…とぶつぶつ呟いているアマルくんをリビングまで連行し、軽くお茶と、お菓子を出して、さっきから気になっていたことを問うてみる。
もし、アマルくんが知らなかった場合、ぷりちゃんの過去を勝手にアマルくんに話すことになるので、あえて孤児院のことは伏せて聞く。
意味ありげに視線を泳がせるアマルくん。
なんかぷりちゃんもアマルくんもわかりやすいよな……
などと関係ないことを考えながら、アマルくんの返事を待っていると、僕の目をしっかり見てアマルくんが口を開いた。
真剣な声音で答える。
アマルくんはバカだけど(←)、人の、おそらく辛い過去を容易に暴露するほど単純じゃないし、第一、アマルくんは優しい人間だ。多分、アマルくんはぷりちゃんの過去について知っているのだろうが、あえて嘘をついているのだろう。
重い空気にしてしまったのは申し訳なく思い、さっき出したお菓子をすすめるが、アマルくんが口を開く。
何か不安があるのか、アマルくんの下を向く視線がこっちに来た時に、微笑む。アマルくんは、その顔に少し安堵したように、軽く口角を上げるが、その後なにかを思い出したように、ハッとする。
今日電車に乗っていたのは彼の友達であろう人と予定があったかららしい。
バタバタしながら荷物を持ったアマルくんを玄関まで案内し、アマルくんと別れた。
ふふ…お仕置きの意味…わかりますね…?…ふふ…
ちょっと話すことないんで挨拶もしませんw
閲覧ありがとうございました!!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。