第5話

4話
276
2019/05/06 11:27
「好きだよ。あなたちゃん」

沈黙を裂くように、星くんが言った。

あ、と。思った時には既に、星くんの視線に囚われる。

熱を帯びた眼差しから、逃げられなくなる。

「ねぇ、好きだよ。僕じゃ駄目なの……?」

追い打ちをかけるように、星くんは切実な声で、潤んだ瞳で訴えかけてくる。

私は、ぐっと唇を噛んだ。

――ダメじゃない。本当はずっと、ダメなんかじゃなかった。

だって、私は……星くんが好きだから。

星くんが告白してくるようになったのは、多分この恋は叶わないだろうなと諦めて達也先輩と付き合った後。

だから、星くんのことが好きだったけど、達也先輩のことも人として好きだったから裏切れなくて、星くんの告白はいつも断っていた。

だけど――先輩は、私を裏切った。

……それなら。

「……ごめんね、今まで」

私は泣きそうになりながら、星くんに笑いかける。

好きな人に一途に想われてたのに、告白を拒んで、他の人と付き合ってた。――こんな私なんて、星くんに相応しくないかもしれないけど。

「好き。本当はずっと好きだった……。付き合って、くださ」

言い終わる前に、星くんは私を抱きしめた。

「付き合って!大好き……!!」

嬉しそうな声が耳元で響いた。

結構な大音量だったため、う、と思わず苦しげに漏らすと、星くんは私から離れて「ごめんね!!」と焦ったように謝った。

色々と全力な星くんに、ふ、と笑みが零れる。

すごく、幸せな笑みが。

「よろしくね。星くん」

「――うん!」

星くんは満面の笑みで頷いてくれた。

プリ小説オーディオドラマ