第5話

FOUR
585
2024/05/30 20:51 更新

――――――研究室

白衣の女性
はあ……………
白衣の女性
また、やり直しなのかしら―――

その時、背後に気配を感じた。

白衣の女性は振り向きもせず言った。
白衣の女性
………………あなたが怪盗キッドね
白衣の女性
“私の”あなたを返してちょうだい…………
怪盗キッド
もちろんですよ、“天羽”美奈葉さん
天羽 美奈葉
……………私のことも知っていたのね


美奈葉は苦笑し、コーヒーを啜った。

怪盗キッドはあなたを椅子に座らせ、1歩下がった。
怪盗キッド
それでは、私は失礼しますよ
天羽 美奈葉
……ええ

怪盗キッドは扉へ向かい、ノブに手をかけた。
天羽 美奈葉
…………………ありがとうね

怪盗キッドは扉の前で一礼して部屋を出た。

美奈葉は、あなたの方へ振り返り、ゆっくりと微笑んだ。



怪盗キッド
………………………………





―――天羽あなた。

数年前に亡くなった天羽夫婦の子供。

夫婦はあなたを深く愛し、死後もあなたを思い続けていた。

だが、2人の愛は重かった。

妻·天羽 美奈葉は、趣味でしていた研究対象を“自分の娘”へと変えた。

そして、自分の娘にもう一度会いたい、という願望で何年もかけ“自分の娘”を作り上げた。

それは娘の姿をした、ただの機械ロボットだった。

その“娘”美奈葉は完璧に機械をプログラムし、生前の娘と言動だけでは分からないほどだった。


完成した娘を、2人は深く愛した。

だが、2人の願望はぶつかった。



…………やがて2人は離婚し、美奈葉は娘を自分の元に置いた。

それを許せなかった夫·天羽 時政は、娘を奪った。

美奈葉はあなたを失った悲しみから、眠れない日が続いた。




その事件は、1部では騒がれていたのだ。

数年前に亡くなったはずの天羽 あなたが急に世間に姿を表した。

これは、その1部では相当の事件だった。


そして数ヶ月、怪盗キッドの耳に入り、今に繋がったのだった…………………。


~𝐄𝐍𝐃~

プリ小説オーディオドラマ