――――――研究室
その時、背後に気配を感じた。
白衣の女性は振り向きもせず言った。
美奈葉は苦笑し、コーヒーを啜った。
怪盗キッドはあなたを椅子に座らせ、1歩下がった。
怪盗キッドは扉へ向かい、ノブに手をかけた。
怪盗キッドは扉の前で一礼して部屋を出た。
美奈葉は、あなたの方へ振り返り、ゆっくりと微笑んだ。
―――天羽あなた。
数年前に亡くなった天羽夫婦の子供。
夫婦はあなたを深く愛し、死後もあなたを思い続けていた。
だが、2人の愛は重かった。
妻·天羽 美奈葉は、趣味でしていた研究対象を“自分の娘”へと変えた。
そして、自分の娘にもう一度会いたい、という願望で何年もかけ“自分の娘”を作り上げた。
それは娘の姿をした、ただの機械だった。
その“娘”美奈葉は完璧に機械をプログラムし、生前の娘と言動だけでは分からないほどだった。
完成した娘を、2人は深く愛した。
だが、2人の願望はぶつかった。
…………やがて2人は離婚し、美奈葉は娘を自分の元に置いた。
それを許せなかった夫·天羽 時政は、娘を奪った。
美奈葉はあなたを失った悲しみから、眠れない日が続いた。
その事件は、1部では騒がれていたのだ。
数年前に亡くなったはずの天羽 あなたが急に世間に姿を表した。
これは、その1部では相当の事件だった。
そして数ヶ月、怪盗キッドの耳に入り、今に繋がったのだった…………………。
~𝐄𝐍𝐃~












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。