この世界には、旧国という者が存在する。
旧国とは滅亡した国を指す言葉なのだが、滅亡といっても国という称号が消えるだけで死ぬわけではない。
滅亡した後はそのまままた新たな国に名前を変えるか、他の者に国の称号を託すか。
後者は国という称号の剥ぎ取られた体だけが残り、社会の裏側で売買されたりするのだ。
………と、長々と語ってきたのだが
私は今、その社会の裏側でオークションのお手伝いをしております。
………
いや違うんです犯罪じゃないんです待って下さいブラウザバックしようとしないでねぇまっておねg
時は数日前、私は金がなかった。
そもそも私は定職についておらず、単発バイトでたまに小銭を稼ぎ もやし、稀にサ◯ゼに魂を捧げる日々。
だがこの時は特に金がなかった!!!!
財布を見ては諦めの笑いを漏らす。成人女性の財布の中身が18円だなんて信じられるか?
いつも世話になってるスーパーのやっすい20円のもやしもギリ買えない。
割とマジで生命の危機を感じ、バイト探しに明け暮れていたその時
見つけたのだ、神からの手紙を。
運搬作業だけとかいう能無しチンパンワイでもできる簡単なお仕事。
しかも資格なしでOKときた。これは私にぴったりだぞと思い申し込みの手続きをしようと思ったが…
そう、旧国オークションは基本違法なのだ。取り締まりが割とゆるゆるなだけで。
もう滅んだ国とはいえ、人身売買…人身売買?まぁ人身売買か、
人身売買は立派な犯罪なのである。闇バイトとか言われて捕まりかねない。
それだけは避けたい…いや避けなくてもいいか?刑務所なら三食あって健康に良いし…
ごちゃごちゃの頭で悩みながら張り紙をジッと見つめていたら、端っこに「※政府開催のオークションなので法律違反の心配はございません。」との文字が。
もはや亜音速でその言葉を信用した私は、脳内に電話番号をしかと焼き付け公衆電話へダッシュした。
スマホなんて貴族の使う機械持ってるわけねーーーーだろ!!!!!!
と、オークションの手伝いをするまでの道のりはこんな感じである。
現在私は旧国さんの入った檻をステージ裏に運搬するなどしているのだが…
そう、みんなTHE不健康みたいな顔と体をしているのだ。何やせ細ってんだ国だろもっとご飯食べろよ!!
まぁもやし生活の私にそんなこと言われてもという感じですよね、私もやししか食ってないのにブクブク太る…🥺
恐らく上であろう人にそう指示され気合を入れていたら、渡されたのは鎖。
疑問に思って繋がっている先を見てみれば、そこには三国?三人?が檻に入らず鎖で繋がれ歩かされていた。顔は俯いていてあまり見えなかったのでよくわからないが。
先ほども運んだ子達のように痩せた体と傷だらけの手足。身長は高いので国だった時代は強国だったのだろうか。檻を通していない分くっきりとわかって見ているだけでも痛々しい。
だがこのまま心を痛めていても仕事が進まない。そう思ってできるかぎり優しく手綱を引っ張りステージ裏に連れ出した。
運搬作業が終わり若干うとうとしてきた頃、丁度オークションが終わった。
周りに人気がないので少し声を出しながら体を伸ばし目を覚ます。
そして報酬を受け取るために指示にあった場所へ向かった。
分厚い封筒を貰ってウッキウキになった直後、脳内に爆弾が落とされて頭が真っ白になった。
なんて言ったこいつ、あいや違うこいつは失礼だなんて言ったこの人。
「君この三国貰っていいよ?」あ、このサンゴ貰っていいよって????やだ海産物貰えるなんてラッk
んなコンビニバイトに売れ残り弁当渡すみたいなノリで命を渡すなァ!!!!!!!!!

▷あなたの下の名前
・限界成人女性
・バイトついでに売れ残った旧国を引き取ることになった












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。