「あなた…、」
『ぁ、ん?』
お風呂あがり
肩の下まで伸びた髪を
優しく、大毅がタオルでわしゃわしゃしてくれて。
幸せ。
『なんじゃらほい、』
「お前実家北海道やったよな?」
『うん、そうだよ?』
「やったらさあ、」
耳のそばで呟かれる。
‘‘やってや、方言女子”
.
『まって!まってまってまってまって』
「ん?」
『あんな、あんな、熊本みたいな可愛いやつじゃないって!』
「ええやん。さんはい 、」
『無理だって!そんな!』
「好きやで、俺は。ほんまあなたのことすき」
『……っ』
真っ直ぐ、見つめられて。
こんなの、
心臓持たない。
「あなたは…?俺のこと」
『…す、きだよ』
「え?なんて?」
『だから…すき…』
「は?」
これは、あれだ
やるまで終わらないやつだ。
「だからなんて?」
『……』
「あなた?」
『…いっ、…、いつもあんたのことを考えてるっしょ!
たいした恥ずかしいけれど、ずっと好きだったさっ!! 』
シーンとなる部屋。
やばい、
出してしまった、本当の私。
でもその静寂は
すぐに大毅に抱き締められて消され
代わりに
「可愛いすぎ。反則。」
そう聞こえてきた。
「ねぇ、もっと言って」
『…もっとって……』
こーゆうのは、出そうと思って出るものじゃないのに。
「あなたの方言、めっちゃかわええ」
『………大毅の…関西弁も
めっちゃ、かわいいよ?』
「ふは(笑)やば、ハマる(笑)」
『やめ、て//はずかしいよ…』
一度ハマったら、全然飽きない大毅に
何度も何度も強要され…。
もうヘトヘト。
「なあ、もっかい好き言うて?」
もうそろそろ終わろうって、思っても
なまら好きです。
そう応えちゃうから
大毅のワガママは終わらない。
.
fin
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!