その後、数年たって、俺は柱になった。
鬼に恨みをこめて、必死に刀を振りかざした。
そうすると、皆から感謝されて、
自分がいいものになった気がした。
‥でも、消えなくて消えなくてしょうがなかった。
俺が五十人全員殺したこと、
そして、
妹を救えなかったこと。
今日は柱合会議。
鬼になった妹を連れている鬼殺隊の一員がいるそうだ。
妹。 その言葉に俺は過去を思い出した。
でも、鬼殺隊として、柱として、
鬼を庇うことは許されない。
俺はこう言った。
「信じない信じない。そもそも鬼は大嫌いだ。
身内なら庇って当たり前。」
俺と私の逃避行
(終)
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!