あなたside
事故が起きてから4週間が経った今日は、
ボーカルレッスンがある。
私は事故によって、
アイドル活動の記憶が
ほぼ全て失われているため、
一から学び始めなければならない
やばい、何も入ってこないっ...
もちろん高校で授業を受けていたためそれなりの知識は持っているけれど、
こういうしっかりした教えられ方はあまりない
心配と焦りが入り混じり、
私の頭の中をかき乱していく
桃奈side
あなたはアイドル活動の記憶がない、
レッスンなどがより一層厳しく感じるはず
、なのに、
あなたは何も相談してこない
きっと無理をしているに違いない
今日、たまたまあなたのレッスンの部屋の前を通った
今の時間は昼の2時半、ちょうどレッスンを再開したころだった
こっそりドアの隙間から、
あなたの様子を確認する
あなたはレッスンに懸命に取り組んでいた
きっと私達に迷惑をかけないように、
そんなことを考えているんだろう。
でも彼女はまだ15歳、
無理をさせたらどうなることか、
そんなことはもうとっくの昔に分かっていた。
レッスンを受けているあなたの目は、
前みたいに優しくて儚かった、
私の気のせいだろうか
薄っすらと涙が浮かんでいた
あなたside
やばいっ、; ;
明々後日までにこの曲フルで覚えないとなのに、
まだ一回目のサビまでしか覚えれてないっ; ;
こうやって一人で焦って、
一人でため込んで、
こういうのが良くないって分かってる、
だけど、他のメンバーに迷惑はかけられない
だから、私は一人で頑張る
ひたすらに泣いて、怒って、悲しんで、
これの繰り返しだった。
すると...
急にドアの奥から声が聞こえてきた
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。