junkyu side
三日目
朝、目が覚めると、ハルトの匂いが薄くなっていることに気づいた。その瞬間、急に恐怖が押し寄せてきた。
僕は慌てて、ハルトの部屋から自分の部屋へ移動した。
僕のクローゼットを開け、着替えるために服を取り出す。
その時、服のポケットに入れたままだった一枚の紙が、ポロリと床に落ちた。
それは、ジフンと行った、去年のライブのチケット半券だった。
激しいバンドで、ハルトは興味がないから、僕が「友人と行く」と言って行ったものだ。
そのチケットの裏には、ジフンの走り書きで、次に二人で行きたいライブハウスの名前が小さく書かれていた。
僕はすぐにそれを捨てようとした。
しかし、僕の手は止まった。
(もし、僕がこの半券を捨てたら、それは、ハルトの決断を「無駄だった」って否定することになるんじゃないか?)
ハルトは僕をジフンの場所へ行けと言った。
僕がこのジフンの所へ行かなかったら、ハルトの決断を否定することになる。
僕は、その半券を拾い上げ、自分の財布の奥にそっとしまった。
僕は、三日間の空白を破り、リビングへ向かった。
冷たい水を飲み干す。
僕は、ハルトのいない、そしてジフンにも行かない、曖昧な日常の第一歩を、静かに踏み出した。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。