🦖side
初めて彼を連れてきた日
今のような元気はなく、オドオドとした印象だったのを覚えている
なんせ大阪から出てきたんだ
緊張して当然だっただろう
東京に来て間もない、俺たちからしたら珍しい関西弁
今でこそこっちの言葉に慣れてきた感じがあるが、この時はずっと関西弁だった
俺はなんとなく、それが好きだった
1ヶ月もすればすぐに馴染んだ君
仲間が増えて、それが嬉しくて
と同時に、たっつんが取られた気がしてどこか寂しかった
ほどなくして、たっつんとのあさんとシェアハウスを始めた
学生に戻ったみたいで楽しかった
特にたっつんとゆあんくんは気が合うようで、いつも一緒にいた気がする
そう言ってポカポカと俺を殴っていた
まぁ全く痛くはなかったが
なんだかんだいいつつ、あいつは俺が頼めば断ることなく引き受けてくれた
グループを組むためにオーディションをした
そのほかに、俺がスカウトして入った人もいる
最初は世間の批判も事務所の解約も怖くて、ただただ終わらないことに精一杯だった
だけど少しづつ受け入れてもらえて、だんだん楽しくなってきて、リスナーさんも増えて
このメンバーで良かったと日々思うようになった
彼は目立ちたがり屋だった
それでも汚れ役とかをずっと引き受けてくれていて、
感謝と同時に申し訳がなかった
優しいやつだったんだ
だから、あんな事件が起きた
たっつんがいなくなって、みんな必死だった
もう会えないなんて嫌だった
だから助けに行ったんだ
ただ1人、愛する人を追い求めて
石像を壊して、たっつんが戻ってきた
この時ほど嬉しくて、安堵したことはない
もうそろそろ結成で×周年
ゲーム実況界隈のレジェンドとなり、これからも更なる上を目指そうと意気込んだ
ゆあんくんとるなの成人式の後
みんなで集まってお酒飲んだっけ
たっつんなおきりさんもシヴァさんも飲みすぎてて面白かったなぁ
この日はみんなでディ◯ニーに来た
みんな普段からは想像できないくらいはしゃいで
久々の羽伸ばし、とても楽しそうだった
思い切ってホテルに泊まったっけ
四つ部屋をとって一部屋に3人ずつ、それぞれホテルでくつろいだっけ
こんなところでもやっぱりゲームして
ベッドはいっぱいあるのに、なぜかひとつのベッドに3人で寝て
あぁ、変わらないなって思ってた
いつも通り、変わらない朝
起きて、ご飯を食べて、編集して、動画撮って
そんな当たり前で幸せな日々
君は今、俺の隣で笑っている
下からはメンバーの明るい声が聞こえる
もう×年間、彼らと一緒に過ごしている
いまさらなくなるなんて考えられないくらいには
俺は今××歳
もうそろそろでアラフォーと言えるような歳
ゲーム実況は現役だが、体力が少しづつ減ってきた時期だ
天井を見上げる
少し年季の入った、白い天井を
いつからだ
いつから俺は、夢を見ていた?
300万人を突破したとき?
だるまの騒動があったとき?
カラフルピーチを結成したとき?
俺がゲーム実況を始めたとき?
…あるいは、最初から?
もう、わからなくなってしまった
この世界から、抜け出せなくなってしまった
どうすればいいかわからなくなってしまったよ
こうやって
もうずっと知らないふりをしている
そうするしか、なかったんだ
それしか、できなかったんだ













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。