第40話

# 36日目
148
2025/02/15 08:51 更新




違和感を探すのなら、まずは引っ掛かっていたカフェに入ろうという話になった。

梓音さん達も ” 同じ夢 ” を見ていたはずだから。



 古宮 真宵
はい、いらっしゃいま…せ


小さく目を見開いた男の子。大学生くらいに見えるが、エプロン姿を見るにこの店の店員なのだろう。

一瞬見せた驚いた顔をすぐに正し、すぐに彼は人当たりの良さそうな笑顔を浮かべた。

 古宮 真宵
…徠瀬さんのお知り合いの方ですよね。話は聞いています
 古宮 真宵
あちらの席へご案内致します。
陽葵 凛乃
あ、ありがとうございます


大人びた雰囲気の彼も見覚えがある、ような。

すごく顔が整っていて俗に言うイケメン。そしてその丁寧な口調には違和感があった。

徠瀬 梓音
お〜い、こっちこっち!
徠瀬 梓音
急にカフェに誘っちゃってごめんね〜、こんな時間帯なのに来てくれてありがとう!
陽葵 凛乃
梓音さん!いえ、こちらこそ急に倒れてしまってすみませんでした…
徠瀬 梓音
いやいや、気にしないでよ!もう体調は大丈夫?
陽葵 凛乃
はい、大丈夫です
徠瀬 梓音
それならよかった!でもお大事にね〜
陽葵 凛乃
ありがとうございます…!


にこーっと笑いながら話しかけてくれる梓音さん。

優しいなぁ…なんて思いながら席に座ると、梓音さんはさっきの店員さんに声をかけた。

徠瀬 梓音
…およ?店員さん。ここってお酒ありますか?
 古宮 真宵
え?ここはカフェですし、お酒はありませんよ?
徠瀬 梓音
そうですよね〜…すみません
 古宮 真宵
いえ、お気になさらず


人当たりが良さそうな笑顔を浮かべる店員さん。一見優しい笑顔を浮かべているだけに見えるが、その笑顔には違和感がある。

なんというか…ぎこちなく、作り笑顔のようだった。その顔は僅かながら引き攣っている。

それから、なんだか色々所作が慣れていないような気もする。新人さんなのだろうか。

古びた扉がついているのだからこのカフェは長い間経営されているのかと思ったが、地元に住む私たちでさえも知らなかったのだからそう古い建物でもないだろう。

徠瀬 梓音
…こういうとき、誰もツッまないよねぇ。
白銀 れいな
昔は誰か…いや、そんなわけないですよね
徠瀬 梓音
やっぱれいなちゃんもそう思う?
白銀 れいな
え?
徠瀬 梓音
なーんかさ…すごい欠けてる部分がある気がするって言うか
星森 憐
それ、私も思いました!
星森 憐
でもいつものメンツはみんな集まってるし…
星森 憐
ただの勘違いなのかな〜?


カフェにお酒なんてあるはずないのに注文した梓音さんに対して、前はツッコミ役がいたような。

すぐそばにありそうなのに掴めないようなもどかしさを感じつつ、梓音さん達にも違和感を探す手伝いをしてくれないか頼もうとした、そのとき。

 莱世 輝夜
…あのさ


私が口を開くよりも先に先程とは別の店員さんが口を開いた。その表情からは怒りや悔しさのような感情が滲み出ていて思わず口を噤む。

「あのさ」と敬語を崩した口調的に先程の店員さんに話しかけているのかと思ったが、目線はこちらに向いている。

 莱世 輝夜
中途半端にさが…
 古宮 真宵
だめだよ、八つ当たりしたって意味がない
 莱世 輝夜
何よ!や…真宵だって怒ってるくせに!
 古宮 真宵
怒っていようがそれを表に出すな。お客様、だろ
 莱世 輝夜
…ッ今はただのお店の、ってことね


その言葉の意味は分からなかったが、この言い合いにも見覚えがある。

たしかにピースは集まっているずなのに上手く繋がらない。これでは違和感を増やすばかりだ。

 古宮 真宵
申し訳ございません、お客様。お見苦しいところをお見てしまい…
陽葵 凛乃
それは気にしないでください。でも、
 古宮 真宵
…でも?
陽葵 凛乃
貴方もこのお店も…どこか既視感があるんです
陽葵 凛乃
もちろんおかしなことを話しているのは重々承知しています、だけど…
陽葵 凛乃
貴方なら何か知っていませんか?同じ夢を見てるのではないかと思って…


店員さんこと真宵さんは小さく目を見開き押し黙る。やっぱり何か知っているな、と勘づいた。

だが真宵さんは小さく笑みを浮かべ、話題をすり替えるように話す。

 古宮 真宵
…何を言っているのですか、お客様。少し疲れているのでは?
 古宮 真宵
紅茶をサービスしますから、落ちつ…
 莱世 輝夜
ねえ、夜宵
 古宮 真宵
お前、その名前は…
 莱世 輝夜
違和感を背負い続けるのも苦だと思わない?
 莱世 輝夜
着実に真実に近づいてるでしょ、この子達。なら清く諦めて教えれば良い
 古宮 真宵
知らなくても良いことはあるだろ
 莱世 輝夜
…あんたとは昔から意見が合わないわね
 古宮 真宵
ふふ。命が宿っても意見が合わないなんてね
 莱世 輝夜
あんた……


夜宵という名前も、どこかで…違う、だめだ。

どこかで見たような、会ったようななんて曖昧なものではだめだ。きっと見たことがある、会ったことがあると思い込んででもこの違和感を探さなくては。

そうじゃないといつまで経っても違和感の正体に辿り着けない。ただ同じ場所をぐるぐると回っているような迷路と同じじゃないか。

 古宮 真宵
結局のところボクらも分かってないんだよね
 古宮 真宵
だって、” あの子達 ” はどうしたんだよ。
 古宮 真宵
消された?あの世界に閉じ込められた?出なかったらどうなってた?
 莱世 輝夜
…さあね


あの子達やあの世界とは何を指すのだろう。話の内容は掴めないが、” あの子達 ” は今いないということか。

 莱世 輝夜
ねぇ、まだ助けられるかもしれない…可能性が一つでも残っているなら試させて
 莱世 輝夜
こんなの理不尽すぎるじゃない
 古宮 真宵
無理だよ。
 古宮 真宵
本来変えるべきではなかった運命に無理やり抗って得た代償だ。あの子も分かってただろ
 古宮 真宵
今更思い出してどうなる?みんながあの子を救おうとして逆戻りになる可能性もあるじゃないか
 古宮 真宵
みんなに思い出してもらって助けられるのが、彼女が望んでいたことなの?


諭すような言い方をする真宵さんにもう一方の店員さんは言い返せなくなっていた。運命、あの世界…なんてSF小説にありそうな単語が並んでいるが意図は掴めない。

ただ、「これ以上は何も聞くな」とでも言いたがな真宵さんに、これ以上何も聞けなかった。












 ♡♡♡

はい、作者です。長らくお待たせしましたがもう時期完結ですね。早い。

二つのパターンを考えてるんだけどみんなはハッピーエンドとバッドエンドどっちがお望み??🤔

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