風が吹き荒れた。眩い光が辺りを包み込む。
目を開けると、そこには誰もいなかった。
まだ光っている、少女達が出て行った出口をぼんやりと眺めた。
夢のようでまだ信じがたく、浮遊感の感じられるものがだんだん現実味を帯びてくる。
一点を見つめる少女はどことなく目が合わなかった。
自嘲するような、己を責めるような、蔑んだ目をする神楽。
誰に責任を押し付けようとも逃れられない呪いがこの世界にはある。
もしも、別の誰かだったら。
その呪いが解けることはなくとも、少なからず。
焦点が定まらず感情的になる者を宥めるように、ぐっと手を握った。
震えた手を握りしめる。ひどく冷たかった。
ひとりぼっちの世界で、少女は何を思うのか。
光を失ったこの暗い海で、どうもがくのか。
どれだけもがき苦しんでも、助けなどない。
____ いま、少女はひとりぼっちだから。
「 だいじょうぶ、まだしょうきをたもててる 」
廃れた世界が、少女たちを嘲笑った。
何も分からない恐怖が、縛りつける。
気づかないふりをしてきたものが、だんだん目前に迫ってきていて。
傷の数だけ、愛の数があって。錆びた口で愛を伝えて。
私とあなただけの逃避行。
また、一人になってしまう前に。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。