第36話

# 33日目
68
2024/09/21 08:36 更新




うわあ!?
陽葵 凛乃
わ…だ、大丈夫?
う、うん…今日、風強いね


風に押されるような形で、ひなちゃんが転びかける。


その風は自由に気ままで、今度は静かになった。



陽葵 凛乃
何か伝えるみたいな風だね、変な感じ
 
もしかしてこのまま運命の相手が…?
陽葵 凛乃
無駄にロマンチストだね
 
私だって乙女になるチャンスがある!!
月坂 叶蓮
え??



相変わらずの会話に呆れつつ、辺りを見渡す。


やはり見覚えのない場所だ。ここでぐずぐずしていても仕方がない。



陽葵 凛乃
ここにいても仕方ないし、進んでみよっか










風に押されるがままに着いた場所は、桜の木が生えた草むらだった。



また桜?
九九 晃葉
しかもさっきの桜と形が似てない?
ほんとだ!



目が覚めてすぐ目の前にあった、大きな桜の木とよく似ている。

凛としていて、真っ直ぐ空へ向かっていた。


月坂 叶蓮
でもどうしよう…どうやって帰れば、



そう言いかけた時、後ろから複数人の足音が聞こえる。

おばけ…?と声も出せずに振り返ると、そこには高校生から大学生くらいの男女が立っていた。




徠瀬 梓音
おーい!君たち、もしかして迷ってるの?
陽葵 凛乃
あ…はい。ここがどこか分からなくなっちゃって
徠瀬 梓音
やっぱり?随分迷ってるっぽいから、つい声かけちゃった
徠瀬 梓音
ここは僕たちがよく行く場所なんだ。だから道もわかるし、案内しようか?
陽葵 凛乃
良いんですか!?ありがとうございます!
徠瀬 梓音
いーえ
徠瀬 梓音
それで、どこに行きたいの?
陽葵 凛乃
えっと、△△街の…
徠瀬 梓音
え!?僕たちと住んでるところ一緒だ!
そ、そんなことあるんだ…
 
スーパーミラクルじゃない??
月坂 叶蓮
いや普通にすごい



手繰り寄せられた一種の運命かのよう。


だがそれ以上に、大きな違和感があった。






陽葵 凛乃
…あの
陽葵 凛乃
勘違いじゃなければどこかで会ったこと、ありませんか?
徠瀬 梓音
僕もちょうどそう言おうと思ってた
徠瀬 梓音
一応初めまして、だよね?
陽葵 凛乃
はい


名前は?と言われれば答えられないし、実際接点なんて一つもないはず。


それなのにどこか胸騒ぎがするような、変な感覚。 

すごい既視感があるような気がするんだよね
月坂 叶蓮
分かる。前も道案内…してもらった記憶があって
 
私も!
え、そうなの?
九九 晃葉
私も…なんでだろう?
徠瀬 梓音
僕も君たちのこと見覚えがあるんだよね〜
徠瀬 梓音
同じ街だからすれ違ったことがあるのかも!



その場にいる者たちはみな、それが違和感の理由だとは誰も思っていなかった。


「なんとなく、そんな気がする。」


その言葉でしか収めることはできないけど、それだけではないような気がするのだ。


徠瀬 梓音
まっ、とりあえず道案内が先だね
徠瀬 梓音
着いておいで


梓音さんも私たちの困惑を察してくれたのか、何も言わずに手を引いてくれた。


今は何も考えず、風ではなくこの人の行先に身を委ねよう。









逢野 奶夜
あら?その子たちはお友達?
徠瀬 梓音
いや、さっき道に迷ってたから案内してあげようと思って
徠瀬 梓音
僕たちと住んでる街一緒なんだよ!奇跡じゃない?
逢野 奶夜
あら…ずいぶん偶然ね。
逢野 奶夜
…この子達と本当に初めまして?
徠瀬 梓音
たぶん。けど見たことある気がするんだよねー



やっぱり何かあるよな、と2人の会話を聞きふと考えていると、後ろから小さな足音がした。


なんとなく振り返ってみると、どこか見覚えのある女の子と目が合った。


白瀬 凛
…ねえ、君
陽葵 凛乃
は、はい!
白瀬 凛
私たち、どこかで会ったことない?
白瀬 凛
…あ、ごめん。急に変なこと聞いて
陽葵 凛乃
あるような、気がします



絡まった視線。何となく互いと似ている瞳。


頭に靄がかかったかのように思い出せない。






白銀 れいな
初めましてなのに…?
陽葵 凛乃
分からないんですけど、皆さんとどこかで会ったことがあるような気がして
白銀 れいな
わ、私も。初対面だとは思うけど…



少しおどおどしつつもそう話してくれる女の子。


この子もやっぱり、見覚えがある…ような。




 _@g
…あんなに初対面なのにれいなちゃんがはっきり喋れてる
傘雫 雨瞳
成長したねええ…!!!
白銀 れいな
へ!?


お二人によしよーし、と頭を撫でられ困惑している女の子。


この風景、どこかで見たことがある…ような。




白瀬 凛
大丈夫?具合でも悪い?
陽葵 凛乃
へっ?え、あ、大丈夫です



見つめられていたのに気づかず、思わず上擦った声を上げる。


すると女の子はふふ、と小さく笑った。


白瀬 凛
ごめんね、急に話しかけて
陽葵 凛乃
あ、ううん!全然気にしてないよ


無意識のうちに親しげな口調で話していたことに自分でも驚く。


この子は忘れちゃいけない気がする。


きっとこの子は、私の大切な______ 。












_____________ 次の瞬間、視界が真っ暗になった。





















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