倉庫の中は薄暗く、天井の高い空間に重たい静寂が沈んでいた。
錆びた鉄骨と積み上げられた木箱が、視界を不規則に遮っている。
どこかで水滴が落ちる音がやけに大きく響いていた。
その沈黙を切り裂くようにすちの冷静な声がインカム越しに落ちる。
声の調子は一定で感情の揺れはない。
だがその視線は鋭く倉庫の奥に僅かに動く。
呼吸を整え自然な流れで護身術の構えをとった。
無駄のない言葉と、動き。
身体はすでに次の瞬間を想定している。
すちは遠距離スナイパーの使い手、颯爽とスナイパーの構えに上から入り、ライフルを安定させる。
レンズ越しの世界は、色と光と音を失い、敵の輪郭だけが浮かび上がる。
低く、静かな声。
それは指示というより確認だった。
廊下を進んでいた敵が不意に足を止める。
わずかな間だったが、顔がこちらに向いた。
呼吸が重なり、空気が張り詰める。
その瞬間、すちは迷わず引き金を引いた。
( ズパ"、…ッ゛ !!!!!
乾いた音が響き、次の瞬間敵の体が力を失って崩れ落ちる。
ほんの一瞬標的が動いたその“ 隙 ”だけを正確に撃ち抜いた。
みことが前に出た。
ナイフを構えた敵が反応するよりも早く距離を詰める。
相手の腕の軌道を読み、衝突する直前で身体をずらす。
攻撃を受け流して関節を抑え、体制を崩す。
無理な力は使わない様に、必要な分だけ確実に
( グ…グ"、、ッ ゴギ゛ィ"ッ ... !!!
静かな声と共に敵は床に押さえ込まれ動きを封じられる。
すちは既に次を見ていた。
倒れた敵には目もくれず倉庫の奥へと視線を走らせる。
敵が左右に分かれて動き始めたその瞬間。
みことはわずかに身を捻り、重心を低く保ったまで踏み込む。
一瞬の迷いもなく相手の動線に入り込み。
正確に抑えて人間の急所を
ググ゛…ッ ______。と抑え込む。
隙を見逃さず無駄のない動きで制圧。
すちの援護とみことの近接術。
互いの動きは言葉を交わさずとも噛み合っていた。
みことは短く息を吐き、身体の緊張をゆっくりと解く。
すちはというとライフルを肩に戻し、倉庫全体に視線を巡らせた。
暗がり、物陰 音の有無等 、全てを確認する
二人は小さく頷き合う、
表情には緊張の名残があるがそれ以上に任務を終えた安堵が混ざっていた。
みことは短く息をつき、すちの方を見る。
すちは一瞬だけ視線を下げて、わずかに口元を緩める。
倉庫に再び静寂が戻る。響くのは二人の呼吸音だけ。
だがこの静かさは終わりではない。
次の任務へ向けて意識を切り替えるための…
ほんの短い準備の時間だった。
二人が車に乗り込んで十分ほど立つ、車のエンジン音だけが低く響く夜道。
戦闘を終えたばかりの二人は助手席と運転席に静かに座っていた。
みことが放った言葉に対して、
すちは目線を前に向けたまま少し間を置いて呟く。
冷静な口調だが、声には少し迷いと優しさが滲む。
みことはその答えを聞き少し肩をすくめる。
みことは微かに笑った。
言葉の端に少し照れが混ざる。
すちはそれを聞き、ライフルの埃を払いながら少しだけ目を細める。
窓の外を流れる夜景に、二人の考えが映る。
戦闘後の緊張が少しづつ溶けて
でも警戒心は残ったまま、それでも互いに心の中でなつの存在が大きくなっていることを感じていた。
車内の静寂は二人にとってちょうどいい距離感を作り出していた。
そしてその静かな時間こそ、これからの彼との関係を考える大切な時間だった。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。