第7話

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2026/01/16 15:00 更新













リビングには昼の光がだらりと伸びていた。
カーテン越しに差し込む陽差しが 、床を照らし時間がゆっくりと溶けている様に見える。
任務組が外に出ているせいかアジト全体がいつもより静かだった。



那津
……
那津
( …暇 、だな )



なつはソファの端に浅く腰掛け 、膝の上で両手を組んでいた。
背筋は無意識に伸ばし線は定まらない。
何かをしているわけでも、休めているわけでもない。
何をしていいのかわからない暇な時間。
それはまだ慣れない感覚だった。


胡鮫
なつくーーん !!! 
那津
………こさめさん 、 ! 
那津
どうかしましたか 、? 



明るく気の抜けた声が静かな空間に転がった。
顔を上げるとこさめがゲーム機を片手に気楽そうに立っていた。


那津
…それは、?
胡鮫
まあまあ !!! 
胡鮫
そんなことは置いておいて君…
胡鮫
暇そうだねぇ… 笑 !! 
那津
… !! 





那津
…いえそんなことないです
那津
…暇を、、謳歌しています。



反射的に否定してしまった。
理由は自分にもわからないようだった。
“ 暇だ ”と認めることがどこか怖かったからだと思う。


胡鮫
………
胡鮫
あははハっ ww !!! 
胡鮫
なつくん面白いね !! 
胡鮫
らんくんよりセンスあるよ w !!! 

胡鮫
…うーん
胡鮫
じゃあさ、その暇じゃない人をさ !! 
胡鮫
暇にする遊びをしよう !! 
那津
………ぇ ? 



意味がわからずなつは一回固まる。
それなのにこさめは説明する気もなくテレビの前へ座り、
電源をつけコントローラーを二つ置いた。
動作は一つ一つ大雑把で雑なのに不思議と周囲を急かす感じがない。


胡鮫
なつくんさ、ゲームできる ? 
那津
……
那津
( 見たことも、ないぞ )



なつはわずかに視線を泳がせる。
答えを探すように、手元と画面を交互に見る。
昔の記憶を辿ったが、掴み出した答えは知ったかぶりだった。


那津
…見たことは、あります…
胡鮫
お、経験者 ? 
胡鮫
( …あのごみみたいな空間で触ることはないだろ ーー !! )
那津
動かし方が、わかりません
胡鮫
( …ですよねー )



正直になつがそういう時、こさめは一瞬間を置いてから
目を見開いて吹き出した。



胡鮫
ぁはは !! やっぱなつくん最高だよ !! 
那津
…ごめんなさい、ぇっと…俺…
胡鮫
いやいや !! 
胡鮫
謝ることじゃないよー、むしろこさめ教えるの好きだよ !! 



条件反射のように謝るとこさめはすぐに首を振って否定した。
そして軽く、はっきりとそう言った。

その言い方は妙に軽くて冗談みたいなのに
押し付けがましさがなかった。


那津
( 怒られ…ない )



その事実に気づいた瞬間なつの肩からほんの少し力が抜ける。
ゲームは対戦形式だった。
画面の中でキャラクターが派手に跳び攻撃を繰り出す。
音と色が一気に増えてなつは少し、いやかなり圧倒される、



胡鮫
とりあえず、これが移動で…
胡鮫
こっちが攻撃ね !! 
那津
…ぁ、はい…



こさめは横から覗き込まず、なつの手元にも触れない。
きちんと距離を保ったまま画面だけを指差して説明する。
なつはコントローラーを両手でぎこちなく握った。

力の入れ方がわからず、親指が不自然に固まる。


那津
…こさめさん
胡鮫
………なに ? 
那津
壁にぶつかりました。
胡鮫
…うん、ぶつかってるね
那津
…すいません、攻撃が出ません。
胡鮫
ぁー多分それ逆だな 笑


数秒後、静かになったと思ったら
画面に映るなつのキャラクターが声を上げて落下した。

あまりにも綺麗に自爆した様にこさめは内心とても笑そうだったが
心を無にして我慢した。


胡鮫
( …我慢、こさめ、笑うな )
那津
…落ちちゃいましたね
胡鮫
…うん、見事にね。
那津
俺これ…向いてないかもですね



なつは画面を見つめたまま動けなくなる。
自分のキャラクターが消えた後をただ見つめるだけ。
ぽつりと零れた本音、その声色には諦めが混じっていた。
するとこさめはあっさりと笑った。


胡鮫
向いてないってね、別に悪いことじゃないとこさめは思うの
那津
…ぇ , 
胡鮫
最初なんて、みんなド下手だし



その言葉に、なつは少し驚いて目を見開く。


那津
…そう、なんですか
胡鮫
そーそーこさめも最初三歩で落ちてた !! 笑
那津
…それは、、
那津
ぇっと、想像できませんね
胡鮫
ひどっ 笑 !? 



笑い声がリビングに転がる。
その音につられるようになつの口元がほんの少しだけ緩んだ。
もう一戦、今度は指の動きがわずかに安定している。


那津
…ぁ、
胡鮫
お、今の回避よかったよ !! 



褒められた瞬間、なむら思わず動きを止めた。
嘘を含まない声だった。


那津
……本当、ですか
胡鮫
いやほんとほんと ww !! 
那津
( …こさめさんって、 )



馬鹿にしない。無理に距離を詰めても来ない。
ボケるけど、ちゃんと見てくれている人だ。
なつはそう思った。敬語のまま話し始める。


那津
…こさめさんは、、
胡鮫
… ?? 
那津
…なんだか不思議な人ですね
胡鮫
え、なにそれ褒めてる ? 笑
那津
…多分、です



また笑う。その笑いを聞きながらなつは思う。


那津
( 本当に根から 良い人なのかもしれない )



まだ全ては信じられないけれど、
それでもここに来て初めて“ 誰かと一緒に遊ぶ時間 ”が怖くなかった。
画面の中で自分のキャラクターがまた落ちた。


那津
…ぁ、すいません…
胡鮫
だーかーら !! 
胡鮫
謝らないでって 笑
胡鮫
次行こ次 !!! 



それだけの短い一言が、なつの胸に小さくなかった。






























気づいたら、笑ってた。
正直フレンドリーなこさめでさえ、
なつにどう接したらいいのかがわからなかった。
静かで、固くて、触ったら壊れそうにこさめには見えたからだ

ゲームをしようと言ったのも、別に深い理由があったわけではない。
この空気が重いなとこさめが感じて、偶々声に出しただけだった。
そして今、画面の中でなつのキャラがまた落ちた。


那津
…ぁっ



とても小さい声。それだけなのに妙に耳に残った。


胡鮫
今の惜しかったね… !! 
胡鮫
確実にじょーずになってるよ… !! 
那津
…本当、です…か ? 



こさめがそう言うと、
なつはこさめを見て、少し困った顔をした。その顔は、ただ褒められて嬉しいと思う顔ではなく真実なのか疑う顔だった。

こさめは嘘を言ってない。動きもさっきもり全然よかったように見えたから


胡鮫
うん、ちゃーんと成長してるよ
那津
……っ !!! 

















その瞬間だった。
なつか、ほんの一瞬だけ、笑った。

声も出してない、口元がきゅっと、緩んだだけだが、それは確実に笑顔だった。
こさめは一瞬画面を見るフリをした。
直視したら、ダメな気がしたからだった。


胡鮫
( …ヤッバぁ )



なんだこれとこさめは思った。
あまりにも不意打ちだから気持ちが整理できていない。
だけどなるべくいつも通りの軽い声で話しかける。


胡鮫
…なつくん、さ
胡鮫
タメでも…いいんだよ ? 
胡鮫
こさめも…みんなも…別に、、
那津
…それ、は…



ゲーム画面から目を離さずこさめは軽い調子でそう言った。
深い意味はない、ただ今の空気なら言っても大丈夫だと思ったから。

するとなつは一瞬動きを止めて視線を膝元へ落とした。
コントローラーを握る指先に僅かに力が入る。


那津
…もう少し、慣れてからでも…いいですか



拒絶ではなかった。
けれど線ははっきりと引かれていた。
こさめはその言葉を聞いて、すぐに理解した。
今はまだそこを超えてはいけない、と。


胡鮫
…そっ、か
胡鮫
じゃ、楽な今のままで大丈夫だよーん !! 


無理に変えさせても意味はない。その判断は自然だろう。
なつは少し驚いたように顔を上げてこさめを見る。


那津
…いい、んですか ? 
胡鮫
うん、なつくんのペースでいいんだよ



確認するような声、
不安と期待が僅かに混ざっている。
だから安心できるように言葉を選んでそう言って、こさめはまた画面は視線を向けた。

それ以上は何も言わなかった。しばらくすると


那津
…ぁっ、、!! 
胡鮫
お、今の上手く当たったね !! 



今度のなつの声は、先ほどより柔らかかった。
画面の中でキャラクターの攻撃が綺麗に決まる。
その瞬間だった、なつがはっきりと笑った。


那津
…っ、へへ

那津
………ぁっ、え、っ !? 



なつは自分でも驚いたようにすぐに口元を抑える。
まるで笑ったこと自体に戸惑っているみたいただ。


胡鮫
( なんだよもう… )
胡鮫
( めっちゃいいじゃん… )



こさめは、内心そう思った。
敬語でも、距離があっても。
今の笑顔はきちんと “ ホンモノ ” だった


胡鮫
ね、今笑ったでしょ ? 笑



こさめはにやっとしながらそう言う。
なつは少し黙ってから小さく頷いた。


那津
…は、い



それだけ。でも、今のこさめには、それだけで充分だった。


胡鮫
( …ぁー )



これ、時間かかるなあ。

そう思いながらもこさめの中に焦りはなかった。
急がなくても、いい。

この子が、ここで笑えるようになるなら。
コントローラーを握り直しながらこさめは思う。


胡鮫
( ちゃんと見てよっと )



なつが、次に笑う時も、その次も。




















梵飴
梵飴
 自分の中で 
梵飴
梵飴
 ここでの瑞くんはお兄ちゃんポジ 
梵飴
梵飴
 全然平和でしょ ? 
梵飴
梵飴
 もはやコメディですよね 
梵飴
梵飴
 本日誕生日なのでお祝いしてもらえたら嬉しい限りです🥹 
梵飴
梵飴
 これからも頑張ります 

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