第18話

第十七話
446
2025/07/06 11:58 更新





(なまえ)
あなた
……


近くにあった公園で1人うずくまる


髪から水が垂れても何も気にならない


ザーザー、と雨が降っている


俺には何も無い、全部いなくなった



俺に、俺に……


(なまえ)
あなた
いる価値はある…?



??
…ンッ!
(なまえ)
あなた
……?


雨で聞こえなかったけど、何か動物のような声が
聞こえた


??
キャンッ!!
(なまえ)
あなた
うぉっ…え、なんで…
(なまえ)
あなた
シャークんときんときが…?
きんとき(狐)
キャンッ!
シャークん(狐)
ワウ!



びしょびしょになりながら来たんだろう。ポタポタと水を垂らしながら屋根の下に来た


(なまえ)
あなた
あ、ちょっと待って



慌ててタオルを出して、2人を拭く


2人とも風邪とかは引いてないっぽい


2人をベンチの上に乗せる


(なまえ)
あなた
雨…やまないねぇ
きんとき(狐)
クゥン…
シャークん(狐)
キャンッ


雨は全く止まず、さっきよりも雨音が強まっていた


(なまえ)
あなた
……消えたい……


2人を抱えてうずくまる。シャークんときんときは
困惑しながら俺の腕の中に収まっていた


シャークん(狐)
クゥン……?
(なまえ)
あなた
なんでッ…俺の、大事な…も、ものだけ、なくなるのッ…?
(なまえ)
あなた
なにもっ…なにも、してないのにッ…


涙が溢れて止まらない…視界が滲んで2人がどんな顔してるかもわからない、こんなやつのこと引いてるかもしれないし、気持ち悪がってるかもしれない…


きんとき(狐)
……ぶだよ
(なまえ)
あなた
えっ…?



ギュッ…



急に衝撃がきて目を瞑ると腕を強く引っ張られ
優しく抱きしめられた



きんとき
俺たちがいるから…あなたはこれから先
何も失わないよ
きんとき
約束する
(なまえ)
あなた
……おれ、期待して、いい?
きんとき
うん
(なまえ)
あなた
絶対、どこも、行かない?
きんとき
うん
シャークん(狐)
(ぺろっ)
(なまえ)
あなた
うわっ…!シャークん、くすぐった…w
きんとき
シャークんなりの慰めなんじゃない?(ニコッ)
(なまえ)
あなた
そっか…ありがと、シャークん
シャークん(狐)
キャンッ!




きんとき
それで…あなたは家に帰る?
(なまえ)
あなた
うん…そうする…もう、あそこに行きたくない…
きんとき
そっか…じゃあ俺らと帰ろ
(なまえ)
あなた
うん、シャークんおいで
シャークん(狐)
(シュタッ)


肩にシャークんを乗せて帰ろうとするが、雨音は弱っておらず、まだザーザーと降り続いていた


(なまえ)
あなた
これ、帰れな…
きんとき
水傘みずがさ……ほら、おいで


差し伸べられた手を取るときんときの隣に引っ張られた。そこは不思議なことに、雨が一つも溢れてこなかった。



シャークん(狐)
スーッ…スーッ
シャークんは安全なところだとわかるとすやすやと
眠り始めた







傘が雨に打たれて、波紋が広がっている
まるで、水が傘になったみたいだ
(なまえ)
あなた
きれい
きんとき
それは、よかった
(なまえ)
あなた
え…声出てた…?
きんとき
ばっちり
(なまえ)
あなた
うわ、恥ず…///
きんとき
えー、嬉しいけどな
(なまえ)
あなた
う…そ、そういえば、尻尾隠せるんだね
きんとき
うん、まぁ普通の人間には耳と尻尾は
見えないけど一応ね
(なまえ)
あなた
そっか…



他愛もない会話をして、気まずくて黙ってしまう

雨の降る音だけが聞こえる




きんとき
ねぇ、あなた
(なまえ)
あなた
なに…
きんとき
絶対、俺たちの前から消えないでね















(なまえ)
あなた
約束は、出来ないかな
きんとき
……そっ、か



(なまえ)
あなた
…っうん



俺には何もないからいる価値なんてない…なんて言葉は言えなかった



きんときの目があまりにも哀しんでいたから

それでも、他人事のように思ってしまう




雨の中、重い気持ちを背負って帰路についた





作者
作者
シリアスやりすぎて悲しくなってきた…

プリ小説オーディオドラマ