近くにあった公園で1人うずくまる
髪から水が垂れても何も気にならない
ザーザー、と雨が降っている
俺には何も無い、全部いなくなった
俺に、俺に……
雨で聞こえなかったけど、何か動物のような声が
聞こえた
びしょびしょになりながら来たんだろう。ポタポタと水を垂らしながら屋根の下に来た
慌ててタオルを出して、2人を拭く
2人とも風邪とかは引いてないっぽい
2人をベンチの上に乗せる
雨は全く止まず、さっきよりも雨音が強まっていた
2人を抱えてうずくまる。シャークんときんときは
困惑しながら俺の腕の中に収まっていた
涙が溢れて止まらない…視界が滲んで2人がどんな顔してるかもわからない、こんなやつのこと引いてるかもしれないし、気持ち悪がってるかもしれない…
ギュッ…
急に衝撃がきて目を瞑ると腕を強く引っ張られ
優しく抱きしめられた
肩にシャークんを乗せて帰ろうとするが、雨音は弱っておらず、まだザーザーと降り続いていた
差し伸べられた手を取るときんときの隣に引っ張られた。そこは不思議なことに、雨が一つも溢れてこなかった。
シャークんは安全なところだとわかるとすやすやと
眠り始めた
傘が雨に打たれて、波紋が広がっている
まるで、水が傘になったみたいだ
他愛もない会話をして、気まずくて黙ってしまう
雨の降る音だけが聞こえる
俺には何もないからいる価値なんてない…なんて言葉は言えなかった
きんときの目があまりにも哀しんでいたから
それでも、他人事のように思ってしまう
雨の中、重い気持ちを背負って帰路についた














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。