着替えて、戻って来たら…
あきはもうそこにはいなかった。
代わりに観客席の後ろの方に座っていた。
あぁ…ほんとに、遠いなぁ…
昔は、あんなに近かったのに…
大会で優勝したら絶対家来てくれてたよね、
なのに…もう…凄く凄く遠い。
今回滑るフリーみたいだよね…私達、
切り替えて滑る準備をする。
私は、遊びに来てるんじゃない。
演技を、"魅せに"来てるんだ
君へのありったけの『好き』をこの演技に込めるよ。
名前がコールされ、真ん中に滑っていく
その瞬間、私を茶化す声が鳴り響いた。
私が年齢を叫んだ瞬間、観客席が少しどよめく。
年齢に驚く声が殆どだけど、あきは後でシバく。
童顔気にしてんだよ、
掘り返してんじゃねぇよ、バカ!!
そう言う所も…好きになったんだけどさ…
ねぇ、あき。
見ててよ…君への恋心を魅せに行くから
中央で静止し、片膝を付き、祈るようなポーズ取る
数秒後、透明感にある歌声がリンクに響き渡った。
静かにステップを踏んでいき、サビに入った瞬間に美しいトリプルアクセルを飛び、コレオシークエンスというステップを踏む。
「今もアイミスユーの切れ端が成層圏で燃えて」の歌詞の部分で成長過程を意味するように3回の連続ターンで再現し、「側にいても離れたままひとつになれない連星」の歌詞の部分を足を閉じて、開いてと表現し、「連星」の部分で右手をあげながら表現しながら滑って行く。
そこからステップ踏みながら、リンクを大きく使って、大きな恋心を表現し、そこでキャメルスピンとアップライトスピ
ン。
そして、ラスサビに入った瞬間に4回転ルッツとトリプルトゥーループとダブルアクセルの3連続ジャンプの後に求めるかのように手を伸ばしたり、下げたりしながら最後の「離れてても消えないままふたつにならない二重星」の部分で手を重ね、最後の間奏の部分で最後のステップを踏み、最後の最後にアップライトスピンを決め、完走。
優雅なレヴェランス(バレエのお辞儀)で会場の歓声に答えた。
あなたの下の名前said
リンクサイドから出て、控え室に向かう途中に後ろから手を掴まれた。
そう言ってあきに抱きしめられた。
そう言ってゆっくり離れてくれた。
私は口に手を当てて泣いた。
心の底から嬉しかったから、
私はそう言って、あきに抱き着いた。
そんなこんなでまた連絡を取り合う約束して、その日は解散。
咲洲から山内に苗字が変わるのは楽しみだけど…
慣れるまで少し時間がかかりそうだな…
それでも、初恋の人と一緒になれることは楽しみだ。
これから、忙しくも楽しい毎日が紡がれていく。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!