そんな茶番をしながら私達はそれぞれリンクに入った。
山内said
あなたの下の名前と再会して、別れた後俺達は日本代表も使ってるスケートリンクに来ていた。
氷上トレーニングの一環で、「慣れない環境に身を置いて、新しい武器を増やせ」ということだったんだけど…
てな感じで慣れない環境。特に慣れない足元。
スケート未経験者にとっては中々に厳しい。
俺は、あなたの下の名前に習って少しだけ滑れるけど…
全員が息を飲んだが、誰も動けない。
俺以外、殆ど未経験。
俺も久し振り過ぎて感覚が戻ってない。
このままじゃ…
そう思ってた時、見覚えのある頭が目の前を通り過ぎた。
その頭の正体はあなたの下の名前だった。
あなたの下の名前said
リンクに入った瞬間、そんな声が響いた。
声がした方に目を向けると、フェンスにすごい速さで近付いている人が居た。
見る限り、止まり方が分からないみたいだ。
私は自分が出せる最高スピードで、ぶつかる寸前の人を助けに向かった。
西田said
止まらない、ぶつかる…
怪我する。バレーが、出来ない…
ギリギリまで足掻いた。
けど、もう間に合わない。
怪我をするしかない…
俺は諦めた様に目を瞑った。
だけど、いつまで経っても痛みは来ない。
俺は驚いて目を開けながら、後ろを向いた。
そこには息を切らしながら俺の腕を掴む藍と同じくらいか、それより下くらいの年齢の女性が立っていた。
あなたの下の名前said
そう言って、私はそこから離れて基礎を始めた。
西田said
俺を助けてくれた女性は俺や関さんよ話し終えてすぐに手馴れた素振りで滑って、離れて行った。
関さんの言う通りだ。
俺らが履いてるスケート靴は紺色で、あの女性が履いていたスケート靴は白だった。
先程見かけた男性選手のスケート靴は黒だった。
十中八九フィギュアスケート女子日本代表の人で間違いないだろう。
関さんの声に反応した俺は関さんの向いている方向に目を向けた。
そこにはさっきの女性とヤマさんが仲良さげに喋っていた。
あなたの下の名前said
そう言って、私は着替える為にリンクから控え室に向かった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!