第15話

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2025/05/10 07:00 更新
日向海斗
…ごめん
返ってきた言葉は、謝罪だった。
日向海斗
蘭菜を利用するようなことして、ごめん
間接的な肯定



予想は付いていた筈なのに、その言葉は刃物の様に鋭かった。
緑川蘭菜
謝らないでよ
緑川蘭菜
責めたく、ないから…
視界が歪んで、熱いものが込み上げてくる。



それが自分の涙だと理解するまで、時間はかからなかった。
日向海斗
…責めていいんだよ
日向海斗
蘭菜の気持ち、踏み躙るようなことをした
やめてよ



そんな、自分を追い詰めるようなネガティブな言葉
緑川蘭菜
貴方には似合わないよ
潤む瞳を悟らせないよう、唇を噛み締める。



小さく呟いた声は、届かなかった。



届かなくてよかった、そう思った。
日向海斗
俺、本当最低だ…
独り言のように吐き出された言葉



やつれきった表情には、



自分を心底軽蔑しているような自嘲的な色が滲んでいる。



…その正義感が、倫理観が、何よりも貴方を傷付けていた。
緑川蘭菜
…実は私、ずっと前から気付いてたんだ
同じだった



海斗が私の気持ちに気付いていたように、



私も海斗の気持ちには薄々勘付いていた。
緑川蘭菜
でも、言わなかった
緑川蘭菜
気付かないふりをしてた
「もしかしたら、時間が経てば私を好きになってくれるんじゃないか」



純粋な好意の中には、打算的な考えが確かにあった。



乾いた笑みが口から漏れる。



貴方と同じ、自嘲を浮かべて。



…汚い気持ちはお揃いだね
緑川蘭菜
だから、私も最低だよ
貴方一人が、背負わなくたっていい
日向海斗
…蘭菜は、優しすぎるよ
緑川蘭菜
海斗だって、優しいよ
海斗は優しく、少し笑ってみせた。



その顔は、いつもと変わらない



向日葵みたいな明るい笑顔だった。
緑川蘭菜
…私達、別れよう
日向海斗
…うん
ずっと、愛し合えると思っていた。



一生一緒に過ごせると思っていた。



私の口から別れを切り出すなんて、想像したこともなかった。
緑川蘭菜
…じゃあね
素っ気無く別れを告げて、背を翻す。



その瞬間、堪えていたものが溢れ出してきた。



満面に広がる向日葵が、同情するように揺れる。



やっぱり貴方と、よく似ている
緑川蘭菜
結局、私の気持ちは最後まで一方通行だったなぁ
…嗚呼、



運命なんかじゃ、無かったんだ

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