第2話

おい嘘だろ…
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2025/09/08 16:21 更新
翌朝、登暮は何度も鳴る目覚ましの音で起きた。頭がぼんやりしている中、昨夜のことを思い出した。そうだ、女性を家に泊めたんだった。ギシギシなる身体を叩いて起こし、ゆっくりと立ち上がる。そして寝癖のある髪をガシガシと掻きながらリビングを覗くと、ソファで毛布にくるまって眠っている灯花の姿があった。登暮は静かにキッチンに向かい、簡単な朝食を準備する。かと言って、あるのは賞味期限切れかけのパンとジャムだ。お情け程度に目玉焼きを作りパンの上に乗っけた。
机の上に朝食をどうぞとメモを書き残した後、登暮は着替えを済ませ、出勤の準備を始めた。その時、ソファでモゾモゾと動き、目覚める灯花の姿があった。彼女はしばらくボーッとしていると慌てた様子で周りを見渡した。登暮と目が合い、口を開いた彼女を黙らせるように、登暮が言う。

「おはようございます。オートロックですので、出るときは勝手に出てください。それではお元気で」

登暮は振り返った。

「盗まないでくださいね。」

灯花は苦笑いを浮かべた。

「盗みませんよー」

登暮は会社に向かった。一日中、家に置いてきた灯花のことが頭から離れなかった。金目のものはあまりないとはいえ、見知らぬ女性を家に置いて行くなんて、我ながら軽率だったかもしれない。
仕事は相変わらず過酷だった。理不尽な上司、終わらない残業、休む間もない忙しさ。登暮は疲れ切って家路についた。奇跡的に終電に間に合い、二日連続で家に帰れることに感動する。マンションに近づくと、自分の部屋の電気がついているのが見えた。

「あー、、電気消せって言うの忘れたー、、」

登暮は頭をかいた。電気代がもったいない。玄関の鍵を開けて中に入ると、キッチンから音が聞こえてきた。
料理をしている音だった。

「おい嘘だろ…」

登暮は恐る恐るキッチンを覗いた。そこには、エプロンを着けた灯花が、慣れない様子で料理をしている姿があった。

「あー!お帰りなさい!」

灯花は慌てたように振り返った。

「なんでいるの…?なんで料理してる…?!」

登暮は混乱していた。

「いやっ、だってぇ…そのぉ…」

灯花は人差し指をつんつんしながら、焦った様子で言った。

「あはは〜…ダメでしたか?えへ、」

登暮は呆れた。しかし、家に帰って明かりがついていて、手料理の香りがするというのは、あまり悪い気分ではなかったと振り返って思う。

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