煌びやかなステージに響いた自分の声と
メンバーの楽しそうな声。
まだまだ小さなそのハコに、ペンライトの光が何個も輝いて、
それはまるで星空のように綺麗だった。
中でも、綺麗で見慣れたその色は、
最前をキープする1人の男の人に目を奪われる。
パーカーを被って、サングラスをかけて、
表情こそよく見えないが、ペンライトを振って
楽しそうに声を出すそのキレキレな姿から、
好きでいてくれてるだろうことは確かだろう。
他のメンバーが歌っているところも、踊っているところも
何一つ目移りせずにこちらを見てくれるその姿。
結成当初から一途に思ってくれている彼目掛けて
指先を向ければ、笑ってくれた気がした。
*
ライブが終わって数分。
溶けた緊張とはまた違う緊張が押し寄せてきて、
机に顔を伏せる。
その理由は一つ。
それは、初めてのファンと一対一の交流会、
握手会兼チェキ会だった。
握手会やるよ!
マネージャーから言われた言葉にグループ内は
大盛り上がりだったけれど、私は違う。
漸くライブに慣れてきたところなのに、
いきなり一対一なんて無理に決まってる。
本来ならファン側の思考なのだろうけど、
緊張しすぎて、ちゃんと喋れる自信が微塵もないのだ。
メンバーからの言葉に少しだけ肩の力を抜いて、
頬をぱちんっと叩く。
慣れた笑顔を貼り付けて、緊張を面にだしてしまわないように
鏡でばっちり整える。
...よし、頑張るぞ。
マネージャーさんの声掛けに返事をして、
ファンの皆が待ってくれてるであろう会場に
足を動かした。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。