第2話

 01 : 最前席に恋の予感
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2025/09/14 08:35 更新




あなた
来てくれてありがとう!



 煌びやかなステージに響いた自分の声と
 メンバーの楽しそうな声。

 まだまだ小さなそのハコに、ペンライトの光が何個も輝いて、
 それはまるで星空のように綺麗だった。
 中でも、綺麗で見慣れたその色は、
 最前をキープする1人の男の人に目を奪われる。

 パーカーを被って、サングラスをかけて、
 表情こそよく見えないが、ペンライトを振って
 楽しそうに声を出すそのキレキレな姿から、
 好きでいてくれてるだろうことは確かだろう。

 他のメンバーが歌っているところも、踊っているところも
 何一つ目移りせずにこちらを見てくれるその姿。
 結成当初から一途に思ってくれている彼目掛けて
 指先を向ければ、笑ってくれた気がした。




 *




あなた
ぅ〜緊張する〜〜...



 ライブが終わって数分。
 溶けた緊張とはまた違う緊張が押し寄せてきて、
 机に顔を伏せる。

 その理由は一つ。
 それは、初めてのファンと一対一の交流会、
 握手会兼チェキ会だった。

 握手会やるよ!
 マネージャーから言われた言葉にグループ内は
 大盛り上がりだったけれど、私は違う。
 漸くライブに慣れてきたところなのに、
 いきなり一対一なんて無理に決まってる。
 本来ならファン側の思考なのだろうけど、
 緊張しすぎて、ちゃんと喋れる自信が微塵もないのだ。

.
大丈夫だよあなた!
.
そういうところもファンはきっと愛してくれるんじゃない?
あなた
適当言わないでよ〜〜本気で緊張してるのに、私
.
あはw大丈夫だって!
あなた
...まぁがんばる、けどさぁ....


 メンバーからの言葉に少しだけ肩の力を抜いて、
 頬をぱちんっと叩く。
 慣れた笑顔を貼り付けて、緊張を面にだしてしまわないように
 鏡でばっちり整える。


 ...よし、頑張るぞ。


 マネージャーさんの声掛けに返事をして、
 ファンの皆が待ってくれてるであろう会場に
 足を動かした。




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