あなた side
出会ったのはただの偶然だった。
とうやと出会ったあの日から、
毎日美味しいご飯を食べさせてもらえて
嫌なことなんて何ひとつない生活。
とうやはいつも優しいし、
もちろん怪我も増えることなく
むしろ治っていった怪我ばかりだ。
まともな食事もとっていなかったせいで
酷く痩せていた身体も、平均体重よりかは
まだ軽いが、十分年齢にあった体重となった
とうやと出会って早くも
1ヶ月半ほど経ったある日。
そろそろ とうやが学校から帰ってくる
時間のはずだが何だかいつもより遅い
ソファで横になったりして、
さらにのんびり過ごしてから1時間。
さすがに遅い気がする。
大丈夫かな、何かあったのだろうか。
一度そう思うと、不安ばかりが込み上げる。
身体を起き上がらせて、
ゆっくりと玄関へと足を向ける
内側から鍵を開けて、ドアノブを掴んで
そのまま扉を押したとき
ふわりと冷たい風が頬を撫でると同時に
目の前に大きな影が覆いかぶさった
ちょうど帰ってきたところだったのだろう。
とうやは少しだけ驚いたように目を丸くして
こちらを見下ろした
何故か片手で頭を抱えたとうやに
首を傾げていると、背中を押されて
家の中へ入るように促される
理由はよくわからないが、
きっと危険だから…とかだろう。
頭を撫でられて、ほぼ無意識に
目を細めると頭上から優しく笑う声が
鼓膜を揺らした
こちらを見下ろすとうやの瞳に
ハイライトが見えなかったのは
きっと気のせいだったはず。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。