✩.*˚ I 視点 ✩.*˚
俺ら3人は、他のみんなとは少し変わった家庭で産まれた。
国を代表する"Iris"の会社の次の社長として、俺らは産まれた。
その兄弟の長男である俺は、父と母から1番好かれていた。
小さな頃から俺は父と同じように育てられた。
父と同じような人になるために。
最初は、自分のため、家族のためだと思っていた。
しかし、それは違った。
父と母は、俺のことを優等生への道以外を進んだら、もう愛してくれないと、何となく感じた。
俺はただ単に、父と同じように造られてるだけだった。
まるで操り人形かのように。
そこから俺は、ただ、ただ、父と母の指示に従うしかできなくなった。
そんなある日。
ツーッ、ツーッ
嫌な予感しかしなかった。
嫌だ。
嫌だ。
嫌だ。
✩.*˚ R 視点 ✩.*˚
俺ら3人は、将来有望だと、みんなから言われている。
特にいふにぃは3人の中でも長男で、1番賢くて、まさにお父さんのような人だ。
でも、いふにぃはお父さんのようになるのにあまり良い顔はしていなかった。
それは、俺ら2人もそうだ。
絶対にお父さんとお母さんに従わないと、追い出されてしまう。もしかしたら、追い出されなくても、これからは奴隷のように扱われるかもしれない。
だから俺らはお父さんとお母さんの前だけはにこにこして演じて、みんな辛い思いをしている。
俺らに自由はなかった。
何も言えなかった。言えるのは「Yes」だけ。
「No」という2文字を言うだけで、俺らの人生は一瞬で変わってしまう。
そんなある日のことだ。
お母さんが電話をしていた。
何となく、その時から嫌な予感はしていた。
内容を聞いたところ、やはり嫌な予感は当たってしまった。
お父さんが亡くなってしまい、ついにいふにぃがお父さんの役をやることになってしまった。
いつもはすぐに「うん」と言えてるいふにぃが、何も言わないで下を向いていた。
……なんでいふにぃにそんなことするの…?
……それはほんとに、いふにぃのための"目標"?
……やはり、お母さん…いや、この人は、お父さんのことも何も思っていなかった。
この人の目当てはただお金だけ、お父さんと結婚したのも、それが目当てだったのだろう。
最低。
いふにぃが、「うん」と、頑張って口に出そうとしていた。
……大丈夫だよ、いふにぃ、今りうらが___
_________助けてあげる。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!