第91話

22話 それだけで済ませられりゃ、どんだけ楽か
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2025/12/03 12:31 更新


*side 千空


.
ここが今夜の寝所になります
ご不便なことがあれば……



案内役の男が深く頭を下げて
扉の向こうへと去っていった。


羽京が扉に近づき、
耳をすませてから小さく頷く。


羽京
……行ったみたいだね
ゲン
いや〜、なんかこう、ね……
盛り上がりすぎてて逆に怖かったよ
龍水
島の連中は、あくまで
信仰であなたを見ているように見えるが……
それだけであそこまで動くだろうか?



今の段階じゃ、
判断材料が足りねぇ。


ただ一つ言えるのは
この島のやつらが、
あなた自身を" 何かの役目 "に
当てはめようとしてるってことくらいだ。



すると、
ゲンが、ゆっくりと首をかしげた。


ゲン
まさかとは思うけど、" 人柱 "とか、
そういうのじゃないよね?
スイカ
ヒトバシラ……?
羽京
生贄にするとか、そういう類のものだよ
……あまり考えたくないことだけどね



羽京が説明すると、

スイカは怯えたように
慌てた素振りをしていた。


千空
 …… 今んとこ、 
もてなしの範囲を出ちゃいねぇ
千空
イマイチ、先は読めねぇがな 



巫女とか、儀式とか、信仰とか
どんな意味を持たされてるかは知らねぇが

結局のところは、
人が勝手に決めた設定に過ぎない。


それに乗っかってる連中が、
どこまで本気で
どこまで作為的なのかも
まだ判断はできねぇ。


話題を切り替えるように
俺は言葉を続けた。


千空
で、もうひとつ……プラチナの件だ
千空
こっちは、こっちで進めなきゃなんねぇ
百物語にあった
" 宝箱に眠る "って話からすりゃ、
千空
この島のどっかに、
宇宙船のソユーズがあるはずだ
羽京
あの感じ……島の人たちが
ソユーズについて知ってそうとは
あまり思えないけどね
龍水
フゥン、あれだけ担がれたんだ
もしかするとあなたが寝泊まりする場所に
宝箱があるかもしれんぞ?



信仰に合理性はねぇが、
それは確かに
あり得なくはねぇ。


ただ
どっちにしろ、


千空
別軸で考えて動く、
たまたまそこが合致すりゃあ
ラッキーでしたっつー話だ


当初の目的……プラチナは必要だ。

科学の未来のために、
絶対に見つけなきゃなんねぇ。


そこに" たまたま "、
今回の騒動が起きちまった。


……それだけの話だ。


本来の目的を
見失うわけにはいかない。


コハク
別軸でも構わないが
……本当に、あなたは大丈夫なのか?



それまで
黙って話を聞いていたコハクが
一歩前へ出て言った。


コハク
特に、あのモズとかいう男、
儀式の中でもやたらとあなたに近づいていた
コハク
あの目、あの距離……
あれが私には、どうにも不快だ



わずかに空気が張り詰めた。


ゲンが、
視線を横に逸らしながら
ぼそっと漏らす。


ゲン
うーん、
俺もあれはちょっと……ねぇ?
ゲン
" 仕事じゃない好奇 "
って感じ、あったよね



羽京が目を伏せたまま頷く。


龍水は何も言わず腕を組んでいたが、
その目が
わずかに鋭くなったのを感じる。


千空
……ったくよ、
千空
しゃあねぇ
そこも、なんとかすっか!



……まぁ、ぶっちゃけ
このままってのも面白くはねぇ。



あなたが
たまたま巻き込まれただけなら、

だったら俺が
" たまたま "守りに行くっつーのも、
別におかしかねぇよな。


千空
……いったん戻んぞ、ペルセウス




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──── ペルセウス号


千空
……ここまでが、今の状況だ



コハクと共に船に戻り、
待機していたクロム、金狼、カセキに
ここまでの話をひと通り伝えると、
船内には一瞬、静寂が落ちた。


クロム
仮によ、ただの巫女として扱われてる
っつー話だとしても、
ずっとこのままなのかって話じゃねーか
金狼
思っていたよりも
厄介だったようだな、宝島
カセキ
あなたちゃん、
今もひとりで、心配だのう……



予想通りの反応だ。

まぁ、こいつらにとって
あなたは、仲間だからな。


千空
今のところは表向き、
手荒な真似はされちゃいねぇよ
千空
ここに来たのは、
" 護身用のアイテム "をクラフトするためだ
千空
あいつに何かあったとき
逃げる時間くらいは稼げるようにな
クロム
おぅよ!それなら、任せとけ!
カセキ
わしも、気合い入れて作っちゃうぞい!



護身用、逃げるため、時間を稼ぐ、


理由はなんでもいい。

その一瞬の選択肢が、
生死を分けるのこともある。


……ただ、
それだけで済ませられりゃ、
どんだけ楽かって話だがな。


必要な素材をクロムたちに伝えて、
俺らは元いた寝所へと戻った。





❁⃘*.゚ ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ❁⃘*.゚


*side イバラ




──── 海の見える崖の上



船の甲板に、数人の動く影が見えた。

火の灯り、
道具を持つ気配、わずかな声。


何かを、
作っているようにも見える。


イバラ
ん〜、余計なことしてる感じだねぇ……




香ノ巫かのふが現れたことは、
大いに喜ばしい。


だが、
それ以上の動きは不要。


彼らには、
ただ黙って従ってもらいたい。


イバラ
……あの娘は、誰にも渡さない


あのお仲間たちにも、
もちろん……島の連中にもね。




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🐰
  Thank you 🔦  
  🔦とっても嬉しいです…!
背中を押してもらっている気持ちになれます🥹♡

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