*side 千空
案内役の男が深く頭を下げて
扉の向こうへと去っていった。
羽京が扉に近づき、
耳をすませてから小さく頷く。
今の段階じゃ、
判断材料が足りねぇ。
ただ一つ言えるのは
この島のやつらが、
あなた自身を" 何かの役目 "に
当てはめようとしてるってことくらいだ。
すると、
ゲンが、ゆっくりと首をかしげた。
羽京が説明すると、
スイカは怯えたように
慌てた素振りをしていた。
巫女とか、儀式とか、信仰とか
どんな意味を持たされてるかは知らねぇが
結局のところは、
人が勝手に決めた設定に過ぎない。
それに乗っかってる連中が、
どこまで本気で
どこまで作為的なのかも
まだ判断はできねぇ。
話題を切り替えるように
俺は言葉を続けた。
信仰に合理性はねぇが、
それは確かに
あり得なくはねぇ。
ただ
どっちにしろ、
当初の目的……プラチナは必要だ。
科学の未来のために、
絶対に見つけなきゃなんねぇ。
そこに" たまたま "、
今回の騒動が起きちまった。
……それだけの話だ。
本来の目的を
見失うわけにはいかない。
それまで
黙って話を聞いていたコハクが
一歩前へ出て言った。
わずかに空気が張り詰めた。
ゲンが、
視線を横に逸らしながら
ぼそっと漏らす。
羽京が目を伏せたまま頷く。
龍水は何も言わず腕を組んでいたが、
その目が
わずかに鋭くなったのを感じる。
……まぁ、ぶっちゃけ
このままってのも面白くはねぇ。
あなたが
たまたま巻き込まれただけなら、
だったら俺が
" たまたま "守りに行くっつーのも、
別におかしかねぇよな。
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──── ペルセウス号
コハクと共に船に戻り、
待機していたクロム、金狼、カセキに
ここまでの話をひと通り伝えると、
船内には一瞬、静寂が落ちた。
予想通りの反応だ。
まぁ、こいつらにとって
あなたは、仲間だからな。
護身用、逃げるため、時間を稼ぐ、
理由はなんでもいい。
その一瞬の選択肢が、
生死を分けるのこともある。
……ただ、
それだけで済ませられりゃ、
どんだけ楽かって話だがな。
必要な素材をクロムたちに伝えて、
俺らは元いた寝所へと戻った。
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*side イバラ
──── 海の見える崖の上
船の甲板に、数人の動く影が見えた。
火の灯り、
道具を持つ気配、わずかな声。
何かを、
作っているようにも見える。
香ノ巫が現れたことは、
大いに喜ばしい。
だが、
それ以上の動きは不要。
彼らには、
ただ黙って従ってもらいたい。
あのお仲間たちにも、
もちろん……島の連中にもね。
❁⃘*.゚ ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ❁⃘*.゚

🔦とっても嬉しいです…!
背中を押してもらっている気持ちになれます🥹♡











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。