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第17話

ショムちゃんとキプリウス
蘭子
蘭子
……
男子生徒
男子生徒
な、なんスか
 頃月高校の不良に絡まれた男子生徒の容態は、もうすっかり良くなったようだ。
 真正面から突然メンチを切られ、彼は怯えたような表情で後ずさった。
蘭子
蘭子
生徒会規則第885条にもとづき、あなたに情報の提供を求めます
男子生徒
男子生徒
そんな条例ありましたっけ
蘭子
蘭子
ないです
男子生徒
男子生徒
……

 呆れたような表情でぽかんと口を開けられるが、ここで退くつもりはない。

男子生徒
男子生徒
どうせ、ボスのことっスよね。先輩に会ったんスか?
蘭子
蘭子
うん
男子生徒
男子生徒
ボスはなんて?
蘭子
蘭子
私を巻き込みたくないって
男子生徒
男子生徒
まあ、そう言うでしょうね

 彼は小さくため息をつき、教室の椅子に座った。

男子生徒
男子生徒
ボスはいつもそうッスよ。俺達のこと、仲間としては認めてくれるけど、肝心なことはいつも教えてくれない
男子生徒
男子生徒
だから俺も果たし状を受け取った時、一人で乗り込もうと思った
 結局騒ぎになっちまいましたけど、と彼は表情を曇らせる。
男子生徒
男子生徒
ボスが俺達を守ってくれるみたいに、本当は俺達だってボスのことを守りたいって思ってるんスけどね……

 その言葉に、これまで耳にして来た宇田川先輩にまつわる噂がリフレインする。

 三年間、校内のはぐれ者を一つに束ねて来た孤高の存在。

 来る者拒まずな性格の一方で、素性を知る者は誰もいないミステリアスな高校生。

蘭子
蘭子
(そう言えば先輩ってキプリウスのメンバーには慕われてるけど)
蘭子
蘭子
(他校の生徒からはすごく敵視されてる気がするんだよね……)

 気になった私は、思ったことを彼に尋ねてみる。

蘭子
蘭子
先輩が他校から目を付けられてる理由については何か知ってる?
男子生徒
男子生徒
俺も詳しいところは分からないんスけど……ボスはもう何年も周囲に因縁を付けられてるらしいッス
男子生徒
男子生徒
喧嘩を吹っ掛けられてもいつも相手にしないから、ますます一戦交えたい奴が増えて
蘭子
蘭子
じゃあ、この争いを止めるにはーー
男子生徒
男子生徒
いつかは、ボスが決着をつけるしかないと思います

 それも、そう遠くない日に。

 呟かれた言葉にぎゅっと胸が掴まれたような気分になる。

蘭子
蘭子
(つまり……)

 それは、近いうちに先輩を巻き込んだ大きな争いがあることを示していて。

蘭子
蘭子
……もし、何か情報が入ったら私に教えて欲しいの
蘭子
蘭子
私だって、いつまでも先輩に守られるような役立たずでいたい訳じゃないし――
蘭子
蘭子
それに相手が誰であれ、この高校の生徒を守ることは生徒会の務めだから

 私の言葉に目を瞬かせていた彼は、やがてカラッとした笑顔を浮かべる。

男子生徒
男子生徒
なんか井瀬先輩、ボスみたいッスね
蘭子
蘭子
え?
男子生徒
男子生徒
あ、でも先輩は生徒会だし、生徒会長っぽいって言った方がいいかも……?
男子生徒
男子生徒
いずれにしても、かっこいいのは事実ッス!
蘭子
蘭子
……そんなことないよ

 無邪気に褒めてくれる彼の視線は受け止めきれないほどにまっすぐで、いたたまれない気持ちになった私はふいと視線を逸らす。

蘭子
蘭子
(私は、どちらにもなり切れなかった人間だから)

 橘先輩のように正義を貫くこともできなければ、宇田川先輩のように大切なものを守るために自らを犠牲にする勇気だって到底持ち合わせていない。

蘭子
蘭子
(でもーー)
蘭子
蘭子
……生徒会長とボスが似てるって言うのは、あながち間違いじゃないかもね
 その理由は、今は分からなかったけど--

 「井瀬先輩もそう思いますよね!?」と盛り上がる彼につられて、私も思わず笑いが零れた。