ひとまず立ち上がらなければ、なにも出来ない
腕を地に付け、腕に力を込めるーーー
けど、立てない
右耳のピアスを踏まれていた。
耳がちぎれそうな鋭痛に、思わず全身に込めていた力が抜ける
師匠のそんな声が聞こえて、そこからの記憶がない。
そして。目覚めたのはがらんとした灰色の部屋ーーーではなく。
目に、普段頼りきっている片の目に灰色の目隠しがされていた。
目隠しはなぜか指でいくら触っても取れなかったので、取ろうとするのを諦めた。
思わず表情が歪む。思わず苦笑いしてしまうほど、驚愕がいつもの感情から飛び抜けている。
昔本で読んだ、うろ覚えの知識を元にクリック音を試してみる。
師匠に読まされた山積みの本たち。
その中の一冊が、両の目を失った時どうするかという内容だった。
両目の視力を失い盲目になったら?
舌を硬口蓋に当てて音を鳴らす、いわゆるクリック音を使い、反響で周囲の状況を知れ。
そう書いてあった。
一応、目を瞑って練習してはみたけれど、実践となれば話は違う。
難しい。でも、周囲に何かがあるような感じはしなかった
部屋を出るためには、
そんな思考を開始した時、ぎぃと扉の開く音がした。
思わず戦闘の構えを取る
いつの間に後ろに回られていたのか。
背後を取られていて、目隠しを外された
すると目の前には、つい先刻まで戦っていた師匠が。
ぱぁん、という何かが破裂する音と同時に火薬のにおい。そう、誰がなんと言おうと、あれだ。誕生日に鳴らすようなクラッカーである。
新作です良かったら読んで頂きたいですт т💧
ちなみにちょこっと今話の裏話をすると、途中はただクリック音が書きたかっただけです。
個人的な話をすると蘇枋くんがWB最推しなのですおーくんのクリック音が切実に聞きたい。
クリック音使ってる人すごいなーって思うので、知らなかったりした人がいたら是非調べてみてください!!
わたしは死亡遊戯で飯を食う。の幽鬼ちゃんがすきです。ラノベですがぜひ。
すごく駄弁っちゃいましたが愛読よろしくお願いします📨🐾♪
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!